大食いYouTuber・谷やんが発揮する独自性 エンタメと食の学びが融合した動画の意義を考える

 また、自分のために料理をつくる楽しさ、ひとり飯の楽しさも教えてくれる。一般的に、食事はコミュニケーションの側面から、誰かと一緒に食べる楽しさが重要視されている。しかし、様々なライフスタイルが存在する現代の日本において、難しい面があるのも事実だ。

 「【大食い】超盛り軟骨つくね~自宅での1人焼き鳥は至高~」では、谷やんが1人焼き鳥企画で味変を楽しむ様子を公開している。出来上がった軟骨つくねを、しそと梅肉、照り焼きソース、黄身おろしと合わせて次々に楽しむ映像は、タイトル通り、まさに至高の1人時間といえるだろう。自分が食べたいもの、美味しいものを求めて試行錯誤するのは面白い。誰かと一緒に食べる楽しさがある一方で、1人で作って食べる楽しさも存在するのだ。

【大食い】超盛り軟骨つくね~自宅での1人焼き鳥は至高~

 食意識の低下については、特に20代から30代で顕著であると指摘されている。そんな時代に、20代の谷やんが、食に関する動画を全力で発信していること自体が意味深い。さらにいうならば、高いエンタメ性で多くの視聴者から支持される彼が、豊富な知識とともに食への関心を引き出し、今の時代に寄り添った楽しみ方を発信する意義は大きいのではないか。谷やんの動画で学んだ視聴者が、自らの食生活と向き合い、いずれ食育の担い手として下の世代に継承する。そんな連鎖も実現するかもしれない。

■綾あおい
ライター/コラムニスト。95年生まれ。カルチャー、エンタメの動向と魅力を追う。YouTubeとVODを中心に執筆中。
Twitter:@ayaaoi_ao

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