米大統領選でSNSが果たした役割とは? 公算が狂ったトランプ氏

米大統領選でSNSが果たした役割とは?

直前で選挙対策が追加され、環境が激変

 SNSが、この様な選挙対策を行う大きな転機となったのが2016年に行われた前回の米国大統領選挙だ。ヒラリー・クリントン候補が優勢だという下馬評を覆して、僅差で勝利したトランプ氏。異端児と言われマスメディアにそっぽを向かれながら、潤沢な資金と奇抜なソーシャルメディア戦略で旋風を巻き起こし見事に勝利した。その際にフェイクニュースも横行し、ロシアといった諸外国の干渉を招いたとして、問題視された。

 SNS各社は、今回の米大統領選が近づいてくるにつれて、次々と選挙対策を打ち出した。インターネット上で活き活きと活動していたトランプ氏だが、今回はネット上で半ば手かせ足かせを付けられた状態で選挙に臨むこととなった。

 それでも今回、2020年の選挙では、コロナ禍に見舞われる前まで、アメリカは好景気でトランプ氏に追い風だった。しかしその後、「Black Lives Matter」運動も起こり、アメリカ史上初の黒人大統領だったオバマ氏を副大統領として支えたバイデン候補に流れが傾いた。事実、黒人をはじめ、マイノリティの多くがバイデン候補に票を入れたと言われている。

 直前の世論調査でもバイデン候補が優勢だったが、蓋を開けると史上まれに見る大接戦。SNS各社が選挙対策を行っていなければ、もしかしたら結果は違ったものになっていたかもしれない。

 いずれにしても言えることは、前回と今回の選挙を通して、アメリカの世論は分断されており、今回の投票率の高さが物語るように政治的議論が沸騰しているということだろう。

 インターネットは情報を民主化したと言われているが、一方で民主主義に分断をもたらしたとも言える。今回の選挙から、どんな教訓が得られるのか、今後のテクノロジー各社の動向にも注目だ。

(画像=Pixabayより)

■Nagata Tombo
ライターであると同時にIT、エンタメ、クリエーティヴ系業界にも出入りする。水面下に潜んでいたかと思うと、大空をふわふわと飛びまわり、千里眼で世の中を俯瞰する。

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