Spotifyにおける音声広告のブランディング戦略 コロナ禍の影響から推察するリスナー動向

Spotify、音声広告のブランディング戦略

緊急事態宣言後、積極的に好奇心を満たすリスナーが増加傾向

同じコロナ禍でも5月から10月でどう変化したか。

 スポティファイジャパンは、この「loveAudio ウェビナー」を5月にも開催していた。このコロナ禍に際して引き続き、緊急時代宣言後の利用状況を調査している。「コロナ以前は、通勤・通学中の利用がメインで、一部の人が仕事中・勉強中、あるいは寝る前、朝起きて準備する時に聴くというシチュエーションだった」と藤井。5月に続く、今回10月でも「多様な生活行動の中で音のストリーミング活用ができている。生活の時間の過ごし方が多様化する中で、料理をしながらであるとか、チルタイム、家族と一緒といった様々な行動の中で活用が進んでいる」と報告した。

 内訳としては「仕事あるいは勉強中」に利用、「家族あるいは同居人」と利用が2トップであることに変わりはないようだ。これに関して藤井は「今まで通勤通学といった時間の中で使われていたところから、仕事も自宅勤務の人がいるし、オフィスでも必ずソーシャルディスタンスを保った中で、音楽を聴きながら仕事ができるようになってきたという環境の変化もある」と分析した。

 藤井は続けて「面白いのが3位以降の変化。多くの要素は変わらないが、より外向きであるなど、日常生活の中でのアクティビティの度合いが変化してきているのが見て取れる」。さらに「今回のトップ11を比べてみると、3位以下でランクアップしたのが通信、金融、美容、衣料品、自動車。ランクダウンしたのが食料品、日用品、医薬品、医療。これは間違いなく、これからどうしよう、未来をどうデザインしようかという関心が増えてきている。これからの未来づくりに積極的になり始めている」と注目した。特に積極性に関しては、30代以下で極めて顕著になってきているそうだ。

 利用時間の内訳でも藤井は「通勤・通学が減ったため、平日と休日で同じような聴かれ方になってきた」。緊急事態宣言が解除された後でも「自宅に閉じた利用から新生活様式に合わせた利用へと、全日型の利用が増えてきている。そしてまた新生活様式で、外に出る人が増えてきている中、より使えるシチュエーションの多様化が増えてきた」という。

10月9日から13日までの期間で実施。

 このほか藤井は、日本でも力を入れている新しい音のコンテンツ体験として、ポッドキャストの利用を挙げた。こちらでも「過去に何か聴いたことがあるという人の中で、6割くらい増えた。先ほどの30代以下の積極性が増している層が強い。さらにスマートスピーカー、ゲームコンソール、スマートTVなど、幅広いデバイスを利用するテクノロジーアーリーアダプターに近い人たちが利用する傾向が増えている」との調査結果から、「ミニ時間をどう楽しもうかという、そこで何を学ぼうかというところに関わる音、音楽に代わる好奇心を満たすメディア。ここの利用が着実に日本でも増えてきている」と期待した。

 最後に藤井は「新生活様式に合わせて、積極的な幅広い利用形態が着実に根付いてきていること。そしてその男性女性ともに30代以下の層で積極的な未来の生活リデザインのようなものが増えてきていること。その中で好奇心を満たすという意味でのリスナーが多いポッドキャストの利用。コロナ禍の影響でも、ある意味ポジティブに受けとめるかたちで増えてきている」と総括して話を終えた。

■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「激変!アニメーション環境 平成30年史+1」(著書)など。

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