ソフトバンクのAI活用事例 新薬、新素材、教育、メガネ、自動運転、住宅……そしてTikTokも

ソフトバンクのAI活用事例

メガネ、自動運転、TikTokなどでの事例 住宅は2億3000万のデータ

Lenskart

 Lenskartは、これまた面白い会社。メガネ屋さんに行って、自分の視力をチェックしてもらい、自分の顔にどのフレームが合うのかということを確かめる。そして大体、右目と左目で違ったりするし、フレームも違うため、ほとんどカスタムメイドになる場合が多い。こちらではAIを使って事前にVRでかけた状況をチェックできて、しかも視力の診断までできてしまう。顔を動かしている時に目からカメラまでの距離を自動的に測って、顔にどのようにフィットしたか、その人の顔の大きさや、輪郭などに合わせてリアルタイムにリコメンドしてくれる。何百もの店舗とオンラインでの販売の両方をやって、レンズの削り出しからフレームの制作までして、カスタムメイドのメガネが2日後には自宅に届く。しかも数千円という値段。もうじき、翌日には家に届くところまで進化している。レンズの削り出しのロボットまで含め、全部この会社が垂直生産で、生産から販売まで一気通貫でオンラインまで含めてやっている。

Nuro

 NVIDIAのジェンスンとも、自動運転をどう思うかという話をしたが、彼も全く私と同じで、必ず自動運転の世界が来る、必ず人間よりも精度の高い、事故の少ない自動運転の世界が来ると信じている。ただ順番としては人間を運ぶよりも、モノを運ぶほうがより安全だし、より早く許認可も降りる。早速アメリカでは、カリフォルニア、テキサス、アリゾナの3つの州で、一般道を時速40kmで走っている。人間の運転手を乗せないで、完全に無人の運転で一般道で3つの州にまたがっているのはNuroが世界初。自動車の4分の1くらいの大きさで、万が一ぶつかっても人身事故になるようなリスクは少ない。いくら技術があっても、許認可を得て一般道でどんどん実績を積み上げていかないと前に進まない。実験中、試験的な運用とはいえ、事故を起こすわけにはいかないが、様々な例外をシミュレーションの世界で出してくれるため、ものすごい数の実験ができる。もうすぐ量産が始まり、完全に自動運転の時代が来ている。

ByteDance

 ByteDanceはTikTokの開発会社で、世界中の人が注目している。動画は長くても短くても、いちいち検索したり、何か入力したりなど面倒だったところ、AIが見ている最中にどのくらいのスピードでスクロールするのか、熱心にリピートしてるのか、そのユーザーの好みのコンテンツをどんどん探し出す。15秒づつスクロールしてるうちに、リコメンドして自分好みの動画が出てくる。私も休みの時に3分時間が空いたら、ついつい30分、1時間見てしまう。寝る前にもそんな時が度々あるが、エンターテインメントの世界も変わるということ。

Beiku

 住宅は同じ買い物でも金額がデカい。従来だと町の不動産屋さんに、どんなアパートだとか家を借りたらいいのか買ったらいいのかといったのが大変で、まさにオフラインの世界。中国のほとんどの不動産代理店がBeikuに登録して、アクセスしてお互いに活用する。もうすでにデータベースとして2億3000万の物件が入っていて、しかも月間のアクティブユーザーが3900万人。毎月3900万もの人が家を探しているという数だけでも、さすが中国はデカい。仲介事業者数も46万人、取引だけでも去年220万回、今年はもっと増えた。今年上場した、ものすごい急成長、利益も莫大に上げている会社。まさにAIを使って物件のやりとりをするだけではなく、さらに物件の内覧会をVRを使ってやれて、自分好みの内装に変えていくというようなこともできる。リアルタイムでAIが家具をリコメンドしてくれる。本当に便利な世界になった。

Coupang

 次のCoupangはeコマース。韓国で圧倒的にナンバーワンになった。このCoupang、我々のグループ会社としてAIを需要予測に使っている。在庫の最適化、配送の効率化、最速のルート設計、AIを全ての工程に活用している状況で、日本より進んでいる。

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