『今日好き 秋月編』4話ーー安定の空気感を一変させた、あやのを巡る男性メンバーの駆け引き

『今日好き 秋月編』4話レビュー

 ここまで旅の結末が予想できない『今日好き』も久々だ。2日目も大詰めとなれば、カップルになりそうな、好きな者同士のやりとりから生まれる安定感も見られるものだが、『秋月編』にはその気配がいまだに感じられない。その最中に巻き起こったのが、ここから振り返る“あやの祭り”である。

 第3話終盤で、西綾乃(あやの)をツーショットに誘った松本和志(かずゆき)。昨晩こそ、益田愛里沙(ありさ)から指名されて屋形船デートをしていたが、「初日は“あやのちゃんに会いたいな”と思って。なんか、好きになっちゃった」と、しばしの離れた時間が逆に、あやのの存在を強く意識させたようだ。そこからかずゆきは、「明日、絶対に(告白しに)行く」と決意を告げると、告白前のイチャイチャタイムに突入。ここで、『今日好き』史上、初めての展開を迎える!

 現れたのは、噂のありさ。2人の様子を申し訳なさそうに見に来ると、「ごめんなさい。かずくん、話したいから(今誘っても)いいですか?」と、かずゆきを指名。驚きのあまり、目がキョトンとしていたかずゆきだが、すぐさま「ごめん、明日でもいい?ちょっと今日は……」と、2ショットを断るまさかの展開。それでもありさは「ちょっとだけ、たぶんすぐ終わるから……」と一歩も退かない姿勢だ。相手からの誘いを断る、ひいては同性同士ではない男女の攻防戦というのは、『今日好き』の歴史でも数少ないケースだ。

 かずゆきを呼び出すやいなや、「あやのちゃん一途なのかな?」と、彼の核心を尋ねるありさ。あやのこそ、ありさの登場を受けてすぐに席を外そうとしていたが、彼らの話している様子を少し離れた距離で伺うという、とんでもない3ショットの構図に。何とも形容しがたい気まずさだろう。ただ、かずゆきにとっては、遠回しにあやのに想いを届けるアピールチャンス。「あやのちゃんのことが気になっている」とごまかさずに伝えると、ありさも「聞けてよかった、頑張って」と、素直に退くのだった。

 ありさ本人も振り返っていたが、自身のことを慕ってくれる近藤拓海(たくみ)と向き合うために残りの時間を使えるなど、かずゆきとのツーショットをポジティブに捉えていたようだ(それが空元気か、彼女の本心かはこの後にわかるのだが……)。一方のかずゆきはここから、あやのにオリジナル香水やブレスレットをプレゼントし、手を繋いでイルミネーションを巡るという、まさに全勢力を注ぎ込んだ2ショットを謳歌していた。

 かずゆきに代わり、あやのは椿善稀(よしき)と2ショット。最初こそ、「寒くない?」と自らのコートをあやのに羽織らせた優しいよしきだったが、その後は“大人っぽさ”をイメージしたオリジナル香水をプレゼントしたり、手を繋いだりするも、どうにもかずゆきの後手になってしまう。それでも、前回の香水作りでは中村美月(みづき)とも仲睦まじい雰囲気だったにも関わらず、あやのと一緒にいると「落ち着くし、幸せだな」と感じたため、明日の告白の相手はあやのに決めた、とまっすぐな姿勢を示すことはできていた。

 一方、あやの自身はかずゆきとよしきに加え、彼女と同じ『金木犀編』からの継続メンバーの赤羽流河(りゅうが)の間で悩んでいるようだ。しかしこの2ショットにより、かずゆき、よしきへの気持ちが強くなったと、悩みながらも彼女なりにも思いを決めようとしていた。「一番落ち着くのはりゅうが」と言いながらも、かずゆきとよしきの積極的なアピールにより心が動いたようだ。

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