Netflix、株価急落の背景に登録者の伸び悩み? アナリストも「コロナ禍で浮上しただけ」と厳しい見方

Netflix、株価急落の背景に登録者の伸び悩み?

アナリストは冷静な見方

 Netflixは広告のない動画配信サービスであるため、「登録者から支払われる登録料が利益になる」という非常にわかりやすいビジネスモデルである。そのため、新規登録者数の伸び悩みは、今後の成長に陰りを与える不安要素でしかなく、Netflixの株を売りに出した投資家が多かったのにも納得がいく。実際、アナリストはNetflixの株価の動向に厳しい視線を送っている。

 アメリカの情報誌「Hollywood Reporter」のウェブ版の記事内で、リサーチ会社MoffettNathansonのMichael Nathanson氏は「『Netflix が世界的に成熟した』と主張しているわけではなく、長期的には加入者数、収益、収益の成長に期待しています」と前置きしつつ、「私が問題視しているのは、Netflix は明らかに新型コロナウィルスを恩恵を受けており、相対的な敗者が多く出た中で勝者として浮上しているということです」と冷静な解釈を示す。

 また、同記事にて、リサーチ会社Evercore ISI のチームは「議論は2021年に移り、前年比の比較が難しくなる可能性が高い」と今後の新規登録者の予測が難しいことを伝え、「『第4四半期の収益が減速する』という見方をすれば、この株価は厳しいものになるだろう」とNetflix の将来性の危うさを指摘した。

 とは言え、Netflixはすでに『ストレンジャー・シングス』の第4シーズン、ドウェイン・ジョンソンが監督を務めるアクション映画『レッド・ノーティス』、『ウィッチャー』の第2シーズンの制作を再開した。加えて、コロナ禍だったにもかかわらず、50以上のタイトルの制作を完了したと発表しており、年内には他にも150以上のタイトルの撮影完了を予定している。

 『全裸監督』や『愛の不時着』など、日本でも話題に上る作品はNetflix発のものが少なくない。今回の決算報告では、投資家だけでなく登録者もNetflixの未来に不安感を覚えてしまっただろう。ただ、面白い作品をこれまで以上に配信する構えは崩していないため、今後もNetflixが魅せてくれる作品に期待したい。

(画像=Unsplashより)

■宮西瀬名
フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

〈Source〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65255280R21C20A0I00000/
https://www.investopedia.com/netflix-nflx-growth-stumbles-in-the-third-quarter-5083509
https://www.marketwatch.com/articles/netflix-stock-falls-after-earnings-report-shows-disappointing-subscriber-growth-51603227293
https://jp.reuters.com/article/netflix-results-idJPKBN2752UY
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-20/QIIQNPDWRGG701
https://www.fastcompany.com/90566500/netflix-to-disney-this-is-what-it-means-to-be-streaming-first
https://jp.techcrunch.com/2020/10/23/2020-10-20-heres-why-netflix-shares-are-off-after-reporting-earnings/
https://www.hollywoodreporter.com/news/netflix-analysts-boost-stock-price-targets-despite-subscriber-shortfall

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