『今日好き 金木犀編』第4話ーーふうたとみらいに待っていた”悲しすぎる結末”

『今日好き 金木犀編』第四話レビュー

 『金木犀編』2日目の夜はまだまだ終わらない! 第3話終盤、酒寄楓太(ふうた)が横田未来(みらい)に「話したいことがある」と、ツーショットの約束をしたものの、直後にサプライズで行なわれたくじ引きの結果、赤羽流河(りゅうが)が気になる相手と2人きりでナイトクルージングを楽しめる権利を獲得。相手に選んだのは、もちろんみらいだ。

 その模様を追う前に、まずは2人のクルージングを待つ間、猪子れいあ(れいあ)がけいしとツーショット。れいあは向かって彼の左隣に座り、この日の朝に作ったオリジナルキャンドルに火を灯しあう。特別な雰囲気に包まれながら、初日から変わらぬ好意を伝えたのだった。

 とここで、れいあはけいしの好きなところを11個考え、事前に手紙で用意してくるという準備万端ぶり。順調に彼の“好きポイント”を数えていくのだが、最後に待っていたのは……「明日、告白した時に、私の手を握ってくれるところ」という胸キュンな約束だった。このアプローチは、けいし自身が前回の『夏空編』で考案したものだが、当時の10個よりも数が増えている。これには彼もノックダウン状態で、顔から首まで真っ赤な茹でだこ状態になって、「超えてきた? 前の俺を」と照れに照れを重ねるばかりだった。

 すると、永江梨乃(りの)が姿を見せ、れいあを含めた3人で話すことに。れいあの隣に座るやいなや、「けいしくん決まった?」「誰と迷いよると?」と、単刀直入な質問を投げかけていく。だが、りのはここである“失態”に気づく。しばらくして、今度は西綾乃(あやの)がけいしを追ってきたのだが、彼女が座ったのは、けいしの右隣。そう、りのは先ほど、けいしの隣には座らなかったのだ。ここでようやく、彼女は「あぁ〜」と大きく天を仰ぐ。さらにりのは、けいしに第一印象で気になった相手を尋ねるも、その答えは「みらいちゃんと、あやのちゃん」の2人。不覚にも、敵に塩を贈る形となってしまった。

 旅の終盤にして、全員集合での直接対決となった“けいしガールズ”。彼女たちは「バチバチだね」「やんなぁ」と、自分たちの境遇を理解していたが、実はこのなかで最も悩んでいるように思えたのが、けいし自身。前回とは異なる“追われる”立場にいざ置かれると、普段の自分らしい積極性を出せないまま、ただの一人のピュアボーイになってしまうのだろう。彼は告白時、どんな結末を選ぶのだろうかーー。

 一方、夜景を見ながらのクルージングを楽しむりゅうがとみらい。この局面で千載一遇のチャンスを物にしたりゅうがは、これまで以上に「俺は変わらない」と、みらいへの好意を言葉にする。ただ、後ほど衝撃の展開を迎えるが、みらいの想いも変わらない。彼女の「今もやっぱり、一番はふうたを好きってキモチがあるのね」という一言には、りゅうがも一瞬だが表情を固めざるを得なかった。

 それでも、オリジナルキャンドルを取り出して、「暑いから涼しくなってほしいなって想いで、青とか多めに作ったんだけど……」と、今度は彼女のためを想って作ったというエピソードを明かす。さらに、「俺はみらいちゃんのことが一番好きだし、困らせている分、もし付き合った時には困らせないように頑張るから、俺のところに来てほしい」と、しっかりと相手の心に残る具体的な言葉でも最後の説得を試みるのだった。りゅうがの恋愛に対する真摯さは、本当に参考にしたい。

 そんな彼に対して、ふうたもやられっぱなしでは黙っていない。彼らの帰りを港で待ち受けると、すかさずみらいを誘い出す。ここからいよいよ、ふうたも本気を出すのか……と思われたが、彼が告白したのは、あまりに悲しすぎる本心だった。なんでも、「好きなの。好きです。……好きのキモチなんだけど、前(『夏空編』)はさ、追う感じの好きだったの。今、俺が追ってもらえて……どっちが好きなんだろうってわかんなくって」「本当に好きなのかなぁみたいな」といったように、自分のキモチが心の迷路に迷い込んでしまったようだ。

 みらいは彼の本心をようやく引き出せたが、それは長らく待ち望んでいた言葉ではなかった。「本当ごめん。けど……ごめんなさい」という謝罪を受けて、彼女は「みらいは最後まで頑張るね」と涙を堪えながら応じていたが、その言葉は何を意味するのだろう。そもそも今回の旅は、ふうたに誘われたから勇気を出して挑戦したもの。あまりにも酷な展開だが、この一連のやりとりが、高校生ならではの恋愛の難しさを象徴しているのかもしれない。

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