Googleが遠隔診療を変える? Google CloudとAmwellのパートナーシップ締結から考える

Googleが遠隔医療を変える?

 また、診療科によっては患者に混乱が生じることがある。例えば精神科に通院中の妄想・幻覚状態にある統合失調症患者の場合、思考に論理の飛躍があったり、話の脈略を掴めなかったり、自分自身で新しい言葉を創作したりといった現象が見られる。さらに、外国人の患者となると、文化や宗教の問題が絡んでくるが、日本人にとって妄想として位置づけられる内容も、患者の母国ではごく当たり前というケースもある。単なる2言語間の置き換えという枠組みを超えた、異文化や内面的な苦悩への理解という高度なスキルを求められるこうした状況に対し、現状の機械翻訳が太刀打ちできるかというと甚だ疑問である。

 Amwellとのプロジェクトでは、このような特殊事例にもメスが入れられ、解決策が見出されることを期待したいし、実現すれば完全な医療従事者の負担の軽減に繋がることは言うまでもない。

 あくまでも極端な事例であるが、このような事例にどれほど対応できるのかが肝となるであろう。

(画像=Pexelsより)

■大澤法子
翻訳者、ライター。AI、eスポーツ、シビックテックを中心に動向を追っている。

〈Source〉
https://cloud.google.com/press-releases/2020/0824/google-cloud-amwell
https://www.reuters.com/article/us-health-translations/google-translate-mostly-accurate-in-test-with-patient-instructions-idUSKCN1QE2KB

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる