“フォートナイトの乱”の戦火は世界各地に飛び火 争点は「市場」の定義か?

“フォートナイトの乱”は世界各地に飛び火

考えられる「市場」の定義は3つ

 フォートナイトの乱の行方をめぐっては、今後は現状のスマホ関連市場をどのように法的に解釈するのか、ということが重要となるだろう。ゲームメディア『gamesindustry.biz』は2日、この訴訟における今後の争点を考察した記事を公開した。その争点とは、Epic GamesがAppleによる市場独占を訴えている時の「市場」とは何を指しているか、ということだ。

 gamesindustry.bizによれば、フォートナイトの乱で争点となる「市場」に関して、1)すべてのiOSモバイルデバイス市場、2)アメリカにおけるモバイルデバイス市場、3)全世界のモバイルデバイス市場、という3つの解釈が可能である。Appleの独占禁止法違反が認定される可能性があるのは、市場を「iOSモバイルデバイス市場」と狭く解釈した場合だろう。

 市場を狭く解釈して、独占禁止法違反を認定した判例がアメリカには存在する。1992年、コピー機を製造していたコダックに対して、同社のコピー機の交換部品が同社からしか調達できなかったことを根拠として、独占禁止法違反を認定したのだ。この判例では、コダックがアメリカのコピー機市場全体を独占していたわけではない。

 gamesindustry.bizの記事では、フォートナイトの乱とMicrosoftのWebブラウザ「Internet Explorer(IE)」に関する判例との類似点も指摘されている。1997年、アメリカ連邦地裁はWindows 95とIEの抱き合わせ販売を独占禁止法違反と認定し、こうした販売の中止を命じたのだ。

 以上のようにフォートナイトの乱の行方は、App Storeという市場の法的解釈に大きく左右される。そして、その解釈はPlay Storeの在り方、さらにはGAFAに象徴されるデジタルエコシステムの在り方にも影響を与えるかも知れない。

トップ画像出典:YouTube「Nineteen Eighty-Fortnite」より画像を抜粋

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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