ヤバT「ハッピーウェディング前ソング」はなぜYouTubeで愛される? “踊ってみた”から本人公認までを振り返る

「ハッピー毎日投稿終了前ソング」誕生

【MV】ハッピー毎日投稿終了前ソング【4K】

 そして冒頭でもふれたように、人気YouTuberの水溜りボンドによって、「ハッピー毎日投稿終了前ソング」が投稿される。わずか2週間で1000万再生を目前とするそのMVは、水溜りボンドの6年にも及ぶ“毎日投稿終了”に寄せて、“ヤバT”ボーカル・ギターのこやまたくや本人が楽曲制作を担当。YouTube上で自身の楽曲がバズっていながらも「これまではYouTuberと絡まないようにしていた」と言うこやま。そんなこやまが、以前より親交のあった「水溜りボンドならいいよ」ということで、“ノリで入籍させる”楽曲ならぬ、“ノリで毎日投稿を終了させる”ハッピーな楽曲を制作した。二人の“毎日投稿終了”を囃し立てるMV出演者には、HIKAKINやはじめしゃちょーといった先輩YouTuberから、東海オンエア、スカイピース、アバンティーズらといった盟友YouTuberまで、総勢10組のトップYouTuberが一同に会す、日本におけるYouTuberの金字塔ともいえる作品となったのである。

YouTube上での楽曲使用を許可

 前述の水溜りボンドによる「ハッピー毎日投稿終了前ソング」が投稿された2020年8月15日。同日、ヤバT・こやまがTwitterにて、「ハッピーウェディング前ソング」が多くのYouTuberらの“踊ってみた”や歌唱によって広まったことに感謝し、「今後この曲は僕らのCD音源をそのまま使ってYouTubeに踊ってみた等アップして頂いて大丈夫です!会社に確認しました。ヤバTの曲で楽しんで遊んでね!」と明言した。

 この粋な計らいに、こやまのツイートには現在“5万いいね!”が押されている。最近であれば、多くのコラボや発信を生み出した星野源の「うちで踊ろう」の例もあるが、これからは特定の音源を動画クリエイターに開放することで、表現が広がったり、新たな魅力を獲得するケースが増えていくかもしれない。リリースから3年の時をかけ、YouTubeで人気定番曲となった“ハウ前ソ”は、ヤバTのこの発表を持って、さらに末長く愛され、多くの人に発信される楽曲となっていくだろう。

■こたにな々
神戸出身・東京在住のフリーライター。音楽やアート、YouTuberのライブレポートやインタビューを執筆。詩人としても活動中。

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