【先行レビュー】『Ghost of Tsushima』は”PS4最後の名作”となるか? 圧倒的なグラフィックとUIに注目

『Ghost of Tsushima』先行レビュー

世界観を守るための徹底した配慮

 ユーザーインターフェース(以下、UI)も、『Ghost of Tsushima』の世界観に一役買っている。多くのゲームではプレイヤーが迷わないために、次の目的地を示すマーカーが常に画面上に表示されているし、レーダーで目的地を表示しているケースも少なくない。しかし、『Ghost of Tsushima』にはこのようなマーカーもレーダーも存在せず、「風が吹く方向で目的地を示す」というスタイリッシュな表現に落とし込んでいるのだ。そのため、基本的にフィールドの移動中に表示されるものは、現在の目的を示す左上の一文だけだ。また、戦闘時の体力などの表示も必要最低限に抑えられている。このような工夫からは、世界観を壊さないための徹底した配慮が伺える。

 また、今作の戦闘は油断するとすぐゲームオーバーになってしまうシビアなものになっている。しかし、相手をよく見て攻撃を決めれば、大勢の敵を無傷で倒すことも可能だ。この緊張感あふれる戦闘システムも、本物の果し合いをしているようで没入感がある。加えて、ゲームオーバーになってもリトライまでのロード時間が短いのも嬉しいポイントだ。負けてしまってもすぐに再挑戦できるため、難所に思える戦闘でもやる気を削がれることはなかった。美しいグラフィックと、プレイヤーの没入感を阻害しない設計により、『Ghost of Tsushima』はまさに「遊べる時代劇」と呼ぶにふさわしい作品になっている。

 先日、SIEからPS5のデザインが公式に発表された。「年末には発売するのではないか」という噂がまことしやかに囁かれている現状は、まさに家庭用ゲーム機の過渡期といえるだろう。そして、このような過渡期にはしばしば現行機のスペックを極限まで引き出した作品が発表される。かつてPS3で発表された『Last of Us』がそうだったように、『Ghost of Tsushima』は間違いなくPS4の晩年を代表する傑作といえるだろう。

■坂田憲亮
愛知県の田舎で自由気ままに暮らすフリーライター。アプリやゲームなどエンタメ分野をはじめ、国内大手の各種メディアにて記事を執筆中。取材から撮影、Webデザインまで行う自称・マルチクリエイター。

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