Apple&Googleの強力タッグで新型コロナ対策アプリ始動も、世界の反応はいまひとつ……

Apple&Googleがコロナ対策で強力タッグ

 かわりに、AppleとGoogleは、独自アプリを開発し、ローカライズ版を各国が利用できるようにするべきだったと指摘されている。確かに、あまりITに詳しくない各国当局が、開発業者に依頼をしてアプリを作るというのは煩わしい手間が増える。すぐ使えるアプリを提供していれば、遥かに多くの国で迅速に普及したかもしれない。

 英国の保健サービスNHSは、独自アプリにプライバシーと機能への懸念がある中、AppleとGoogleのAPIを採用しない方針を示している(参考:https://www.bbc.com/news/technology-52441428)。

 スマホ同士でインタラクションが行われるAppleとGoogleの分散型アプローチとは対照的に、イギリスではマッチングプロセスがコンピューターサーバーで行われる中央集権型モデルを採用するという。

 一党支配の中国では、スマホユーザーの個人情報がかなり詳しく分かるようになっており、プライバシーに配慮したAppleとGoogleのAPIでは、物足りない可能性もある。

 有用なテクノロジーを実用化させるにあたり、プライバシーといったユーザーへの配慮、国によって度合いの異なる規制内容への対応、そして政府や規制当局者のメンツへの配慮とのバランスをとることが、いかに難しいかをこの事例は物語っている。平時から抱えている課題ではあるが、この緊急事態ではさらにもどかしく映ってしまった。

(画像=Appleニュースルームより)

■Nagata Tombo
ライターであると同時にIT、エンタメ、クリエーティヴ系業界にも出入りする。水面下に潜んでいたかと思うと、大空をふわふわと飛びまわり、千里眼で世の中を俯瞰する。

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