映画の公開タイミングをめぐり、映画館と配信プラットフォームでバトル勃発

映画館とサブスクの”バトル”勃発

映画ライターとしての個人的な思い

 曲がりなりにも映画ライターとしても活動している筆者は、パンデミックが収束して、劇場が通常通りオープンになれば、今まで通り劇場優先で公開して、配信は少し期間を置いてからにして欲しいと思っています。

 国外の様々な映画館で鑑賞してきましたが、映画館の大画面で見るのと、テレビのスクリーンで見るのでは、全く違うシネマエクスペリエンスであると断言できます。映画館は、作品に没頭できて、五感を刺激しながら鑑賞できる環境を与えてくれる場所です。そして、そんな場所で上映されることを前提に作られた映画は、やはり小さいスクリーンやテレビでは真価を発揮できません。劇場上映できるだけのクオリティなら、やはり最初からVOD上映にするのではなく、最初は劇場で上映して、そのポテンシャルを十分に発揮させてあげるのが、作品に対して、作った人に対して、楽しみにしていた観客に対してもの礼儀ではないかと思うのです。

 調査にあった33パーセントの「劇場が傷ついても、劇場とVODの同時上映を続行すべし」は悲しさしか感じません。映画館の利益の多くが売店という事実を知った上で、できるだけ多くのフードやドリンクを買って映画館をサポートしたいと考えている立場からすると、寂しさを覚えます。

 今後、映画の撮影現場では濃厚接触をなくすためにラブシーンの表現方法を模索していくといった報道もあります。映画館の中には、再開したとしても、オンラインでひと家族がチケットを並びで買った場合、その横の座席は自動的にブロックされて間隔を開けるような対策をするそうです。映画界は生き残りをかけて知恵を絞っています。

 映画館に行く時間が作れなくても、新作映画を公開と同じタイミングで自宅で見られるというのは、ファンにとってもスタジオにとっても利点があると思います。しかし、映画が再び映画館で見られるような時が来たら、映画を作る人も、上映する人も、観る人も、等しく映画がもたらしてくれるくれるものを享受できるといいなと思います。みなさんはどう考えるでしょうか。

(画像=Pexelsより)

■中川真知子
ライター。1981年生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。好きなジャンルはホラー映画。尊敬する人はアーノルド・シュワルツェネッガー。GIZMODO JAPANで主に映画インタビューを担当。Twitter

〈Source〉
https://www.hollywoodreporter.com/news/movieogers-divided-universal-feud-theater-owners-1294009
https://news.mynavi.jp/article/20190425-814721/
https://www.gizmodo.jp/2020/05/academy-awards-2020.html
https://www.dailymail.co.uk/news/article-8230755/Sex-scenes-face-extinction-actors-concerned-getting-intimate-wake-COVID-19.html
https://www.weau.com/content/news/Movie-theaters-wait-to-reopen-570581721.html

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