『名探偵コナン』のテクノロジーは時代と物語に合わせて進化する 重要なツールたちを改めて紹介

 一方で、最も姿を変えたのが、通信機器。つまり、電話だ。初期のコナンでは公衆電話を使っており、この時は携帯電話も皆が持っているものではなかったため、色々な珍発明が生まれた。まずは、弁当型携帯ファックス。弁当にカモフラージュした小型ファックスという奇抜すぎるアイテムで、なぜかウインナーやエビフライは本物(FAXは市販のものらしい)。梅干し型のボタンを押すと起動する。阿笠博士の悪ノリがほとばしったアイテムだが、活躍の機会はほぼないまま消え去った(初登場は7巻)。

 次は、イヤリング型携帯電話。こちらはかなり便利なものだったが、イヤリングにしては少々ゴツいデザイン。蘭が新一に変わって推理ショーを行う(14巻)際に活躍し、以降も要所要所で活躍してきたが、スマホの普及に合わせて登場の機会は縮小していった。

 コナンたちも公衆電話→ガラケー→スマートフォンへと変わっていったが、蘭だけはガラケーを使い続けている。これは、かつて新一からプレゼントされたものだから。この辺りの細かい演出も、「殺人ラブコメ」の美学を守り続けている『名探偵コナン』らしいこだわりといえよう。

 余談だが、通信手段の変化に対応してきたように、日進月歩の科学考証の部分も更新しているのが『名探偵コナン』の持ち味。24巻では「唾液からわかるのはせいぜい血液型くらい」というセリフがあるが、75巻では「昔はツバからじゃあ血液型ぐらいしかわからなかったらしいのに、今じゃ本人かどうかズバリわかっちゃう」とアップデートされている。

 テクノロジーの進化と共に、四半世紀歩み続けてきた『名探偵コナン』。壮大な謎の結末と共に、この後どのような技術的進化を遂げていくのかも、大いに気になるところだ。

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