『テラスハウス』東京編:第37~40話—— 多様性を排除する嫌な空気が蔓延している

『テラハ』多様性を排除する空気が蔓延

彼らの距離感を象徴する、花と快のハグのドラマ

 「2020年楽しいな。絶対楽しいな」から「なぜこんなことに……」へと至る経緯を追うために、京都旅行などでの快の欠点を並べ立てるのは簡単だけど、それはあまりにも一面的な見方であるし、苦しい話でしかない。だからここでは、快と花が交わした/あるいは交わさなかった“ハグ”のドラマをもとに、彼らの関係性の変化に迫ってみたい。

 時は36th WEEKにさかのぼる。2019年も年越し間近となり、実家などに帰るのか、メンバーそれぞれがテラスハウスを後にする場面。そこで花は「ハグしとく?」とみんなに向かって呼びかけ、お互いにハグをし合う。そこで快と花も親密なハグを交わした。その際の印象的な出来事について、花は後々ビビにこう語る。「快くんにぎゅっとされたとき、普通ハグって軽くするじゃん? でもぎゅーーってされて、ぎゅーってなった」「うれしかった」。言葉だけではなかなか伝わらないかもしれないけれど、つまるところ不意に強く抱きしめられて、花はキュンとしてしまったのだろう。そこではさらにビビから「快に付き合おうって言われたら付き合う?」と問われ、「付き合う」とも答えていた。

 さらにその36th WEEKでは、快がガパオライスを花につくってあげる場面での進展も。快がつくる料理を初めて食べた花は素直に感激し、何度も「おいしかった。ありがとう」と感謝を告げる。率先して洗い物もして、そのあとにちょっとした間があり、グッと快に詰め寄る花。「ごはん作ってくれてありがとう。(仕事で)疲れたからぎゅっとして」と言いながら。そこでのハグは、視聴者だけでなく、彼ら自身にも快と花のよき未来を予感させたはずだ。

 しかし、結果的にはこれが彼らの距離感が一番詰まった瞬間となってしまい、ここからは徐々に身体も心も離れていってしまう。そのなかでも象徴的なのは、花がプロレスで着るコスチュームを、快が誤って自分の洗濯物と一緒に洗ってしまう“コスチューム事件”が発生した夜(38th WEEK)。その際に、以前あの優しい抱擁を交わした場所にあったのは、快が被るキャップを振り払う花の姿だった。このなんというギャップ、悲劇的な展開……。

 その次の日(39th WEEK)には、快が花に真摯に謝罪をして事なきを得たものの、その夜に快はテラスハウスを卒業するとみんなに告げる。その後のお別れの場面。トランポリンデートのときに約束した花の絵をプレゼントし、メンバーそれぞれと別れの抱擁を交わす。しかし、花とは軽い握手のみで終わってしまう。快が去ったあとに花は「ハグはできなかった」と言う。「ハグはちょっとまだ。いつか。いつか今日のハグを」と。

 快と花にはいくつかのハグのドラマがあり、それは心の距離感とも密接に結びついたものだった。それは苦しいドラマでもある。しかしまたいつか“今日のハグ”を交わした日に、「なんであのときはハグができなかったんだろう」とふたりが笑い飛ばしてくれることを、彼らの恋模様にきゅんきゅんさせられたイチ視聴者としては願っていたい。

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