『PSYCHO-PASS サイコパス』のAR謎解きゲームはなぜ面白い? リアルとSFの境界を攻めた制作陣を直撃

『PSYCHO-PASS』AR謎解きゲーム制作陣に聞く

「これまでになかった体験が生まれていく時代」(水上氏)

ーー“作品の世界観に没入できるか”という部分を意識しながらプレイさせてもらったのですが、例えば、チュートリアルとしてドミネーターを試し打ちするとき、少し刺激の強い、血しぶきのような演出を含めて、「人を撃つ」ことのストレスがしっかり感じられるのが素晴らしいと思いました。

水上:特にドミネーターは『PSYCHO-PASS サイコパス』の象徴的なアイテムなので、エンジニアや3Dアーティストなど全員で、面白いものにしようと工夫を重ねました。血しぶきの演出は、もともとそのなかのひとりが遊び心で作ったものだったのですが、これがしっくりきて。採用すると年齢制限が必要になりますが、もともと謎解きに参加される方は年齢的にも上の層が多いこともあり、原作のイメージを踏襲するためにも、「ここは曖昧にしないほうがいい」と判断しました。思い切って対象年齢を17歳以上にして、リアリティを追求したんです。

北野:あらすじに「謎を解き明かして、隠された真実を知ったとき、監視官候補生の下す『正義』とは――。」とあります。その正義の執行が、本当に正しいことなのか。そんなことも問われる作品の根幹にあるテーマに対して、リアリティのあるドミネーターの演出は効果のあるものになっていて、ゲームならではの主人公体験に深みを与えられたので、年齢制限を恐れずに表現を追求できたのは、良い判断だったと思います。


ーーその他、要所でアニメでおなじみのキャラクター・常守朱などから入る通信も、原作の雰囲気を忠実に再現していますね。

水上:そうですね。アニメの第一話から最終話までを何度も観直して、“この表現は使える!”というものをとにかくメモして、社内で検討して、ということを繰り返しました。

北野:“ちみキャラ”のイラストでファンにおなじみのゆーぽんさんが体験会に参加してくださって、ゆーぽんさん自身、作品の大ファンで、当日は自前の公安局のジャケットでこられたほどなのですが、あれだけ作品の世界を熟知した方が「楽しかった」とおっしゃってくださったのは、大きな自信になりました。

ーー明かせる範囲で、普通にプレイしていたら見逃してしまうかもしれないお楽しみのポイントがあれば教えてください。

水上:物語の進行に合わせて、分析官の唐之杜(志恩)とメッセージのやりとりができるのですが、いろんなバリエーションでお返事がもらえるようになっているので、ぜひいろいろと試してみていただきたいです。例えば、捜査で訪れた場所に関する言葉とか、作中の専門用語とか。制限時間が厳しくなってしまわない範囲で、そういう遊び方もしていただけたらうれしいですね。

北野:謎がすんなり解けて、余裕がある方はぜひ。

ーーエンディングも複数パターンあるとのことですし、2周目のお楽しみにするのもいいかもしれないですね。“AR技術のバイブル”たる作品を、まさにARを使ったエンターテイメントにする、という企画が実現して、今後の可能性も見えてきたのではないでしょうか。

水上:そうですね。今回、ARを利用したエンターテイメントのひとつの形を世の中に示すことができたと思いますし、ARという技術自体が未知数なので、様々な作品や技術との組み合わせで、今後どんどん化学反応が起きていくのではと。そうしてこれまでになかった体験が生まれていく時代に、プレティアとしてもしっかりコミットしていきたいと考えています。

北野:プレティアは来るべきAR時代に備えるために、独自のARバックエンド技術の開発を進めていますが、AR謎解きゲームはあくまでその応用のひとつとして取り組んでいるという面もありますよね。謎解きに限らず、これからも技術の応用によって、どんな新しいエンターテイメントが作れるのか、一緒に考えていきたいと思っています。


ーーあらためて、これから『渋谷サイコハザード』に参加しようと考える人に、どんなところを楽しんでもらいたいですか。

水上:“監視官候補生”として、狡噛(慎也)や(常守)朱という公安局刑事課一係のメンバーと一緒に捜査して、ドミネーターを撃つ体験ができますので、自信を持っておすすめできる内容になっています。ぜひ遊びに来てください!

北野:AR技術を通して、SF作品の世界観と渋谷の街を融合させることが大きなテーマでしたが、渋谷の街自体、再開発で日々、生き物のように変わっています。どの日に行っても、その日しかできない体験が待っていることに、僕自身わくわくしますが、街というメディアと一体になった、新しい感覚のエンターテイメントを、楽しんでいただけたらうれしいです。

■『PSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザード』概要


・開催期間:2020年1月21日(火)~2020年6月30日(火)
・開催場所:東京都渋谷エリア
・価格:2,900円(平日)、3,400円(土日祝)
・体験時間:約120分
・公式サイト:https://pretiaar.com/games/3
※5月6日まで開催を中止。以降の状況は公式サイトを参照。
・ストーリー
211X年、シビュラシステム運用下にある東京のS区でガス兵器による事件が発生したとの情報が入った。公安局刑事課一係に配属された監視官候補生(プレイヤー)は、狡噛・常守とともに犯行現場へ向かう。謎を解き明かして、隠された真実を知ったとき、監視官候補生の下す「正義」とはー。

■『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』
3月27日(金)2週間限定公開
Amazon Prime Videoにて編集版を日本・海外 独占配信中!
・公式URL:https://psycho-pass.com/

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