ハチ公や須田景凪ライブで実験的試み KDDIが渋谷で繰り広げた“5G時代のエンタメ×テック”

KDDIが見せた“5G時代のエンタメ×テック”

 そうした「渋谷区×エンターテインメント×5G」の今回の目玉と言えるのが、25日に行なわれた、須田景凪のライブと連動した観客参加型の施策だった。この日は完全招待制のイベントとしてLINE CUBE渋谷で開催された彼のライブ『uP!!!NEXT 須田景凪~晩翠~ powered by au 5G』と、渋谷にあるauの直営店・au SHIBUYA MODIをau 5G回線で繋ぎ、au SHIBUYA MODIにも観客を複数人招待。こちらの観客にはひとりずつauの5G搭載スマートフォンが貸し出され、LINE CUBE渋谷のステージにあるおよそ幅18m、高さ5mのLEDパネルに映し出された映像を、5G搭載スマートフォンによって遠隔地からリアルタイムで操作する実験が行なわれた。

 今回対象となったのは、ライブの6曲目「青嵐」と、8曲目「MOIL」の2曲。まずはau SHIBUYA MODIの観客に簡単なレクチャーが施され、ライブがスタートすると、「青嵐」ではLINE CUBE渋谷で須田景凪の背後にあるLEDパネルに映るぐるぐると渦巻くような水玉の映像が、au SHIBUYA MODIの参加者のスマートフォンを左右に揺らす動作にリアルタイムで対応し、見る見るうちに異なる形へと変化していく。続く「MOIL」では、au SHIBUYA MODIの観客がブラシで色を塗るように上下にスマートフォンを振ると、LINE CUBE渋谷のLEDパネルに色鮮やかなペイントが生まれ、参加者から歓声が起こった。

 驚くべきは、今回のライブにおいて、5Gスマートフォンを使った演出の実行時には、他の映像演出が一切使われず、au SHIBUYA MODIの参加者の動作だけで華やかなライブ演出を実現していたことだろう。これは5Gによる「大容量超高速性」ならではだ。また、音楽ライブという時間と密接に関係するアートフォームとのコラボを可能にしたのは、5Gの「低遅延性」。そして複数の観客がスマートフォンで大容量データを操作できたのは、同サービスの「多接続性」ゆえだ。全編を通して、5Gの性能をフル活用した施策だった。この日は同時に、渋谷の街を利用した「Audio Scape by au × 須田景凪」と「INVISIBLE ART IN PUBLIC by au 須田景凪」も開催され、この2つは1月31日まで体験が行われていた。

 2日間で何より印象に残ったのは、やはり、このプロジェクトが「リアル/現実」を舞台にしていること。5G以降の通信システムを利用したサービスでは、「現実」と「仮想現実」をひとつにして、ますます両者の垣根をなくすことが可能になる。5Gのサービスが正式にはじまる2020年3月以降は、このプロジェクトでもさらなる施策を展開予定とのこと。先駆けて行なわれた今回の施策は、その可能性をいち早く伝えてくれるものだった。

■渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト
KDDI株式会社、一般財団法人渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザインの三者で立ち上げた、主にエンターテイメントに特化したテクノロジーを駆使し、渋谷の街をより面白くしていくためのプロジェクト。音楽・アートといったエンターテイメント領域を中心に、新たな文化の創出や、観光面での魅力的な街づくりを推進していく。
https://shibuya5g.org

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