『バチェラー・ジャパン』は“オーディション番組”だった!? 2019年恋愛リアリティーショー座談会【後編】

2019年恋リア評論家座談会【後編】

『バチェラー・ジャパン』シーズン3(Amazon Prime Video配信:2019年9月~10月)

藤谷千明(以下、藤谷):『バチェラー・ジャパン』シーズン3は大炎上というか、観ていない方もネットニュースでご存知かと思いますが、バチェラーの友永真也さんが最終回で選んだ水田あゆみさんではなく、最後まで迷っていた女性・岩間恵と交際していたことが発覚したんです。しかも、あゆみさんとの交際が続いている間に、恵さんに会いにいったとかで……。そういった経緯が最終回後、急遽配信された“真の最終回(「エピローグ~バチェラーが明かす本当の結末~」)”で発表され、SNSやネットニュースが荒れに荒れて場外乱闘で終わったという……。全部終わったあと、エピソード1から見直すと、結局バチェラー友永さんは初めから恵さんが好きだったように見えるんですよね、ただの一目惚れだったのかなと(笑)。

Nana Numoto(以下、Numoto):でも今回の一件で、私はネットニュースを見て『バチェラー・ジャパン』に興味も沸きましたし、観るきっかけにもなりました。私みたいな人も多かったんじゃないですかね?

Jun Fukunaga(以下、Fukunaga)『バチェラー・ジャパン』自体は、僕も観ていたのですが、途中で脱落してしまいました。明確な理由がある、というよりは1話が1時間前後と長くて、時間が取れなくなったことが要因ですね。

Numoto:『バチェラー』は恋愛の好みもありそうですね。私は何人かで選び合う方が好きなので、AbemaTVの『オオカミ』シリーズや『テラスハウス』にはハマりました。一方で『バチェラー』の一人に対して複数人でいくというスタイルには、あまりピンとこなくて……。

藤谷:私は逆にそれがシンプルで好きなんです。「とにかくバチェラーを落としたら勝ち!」みたいなバトルロイヤルっぽさが。「あるある〜」みたいな共感よりも「そこまでする!?」みたいな現実感のなさが面白い。あと綺麗な女性たちが、毎回違ったカクテルドレスや水着などの豪華な衣装を身にまとっているというビジュアルの派手さも観ていて楽しいですね。

編集部:わかります。ヘリコプターや客船貸切など、ほかの恋愛リアリティーショーではあまり見られないバブリーさですよね。

藤谷:それに、『バチェラー』は恋愛リアリティー番組というより、オーディション番組に近い気がします。たとえば、最初の自己紹介で、たいてい“方言をアピールする女性”だったり“やっているスポーツを披露する女性”が出てくるんです。これって『PRODUCE 101 JAPAN』の100秒動画と似ているんですよね。

Fukunaga:選ばれるってことを考えると、印象に残さなければならないですしね。

藤谷:印象に残るか、スベるかの賭けです。『テラスハウス』をはじめほかの恋愛リアリティーショーならそんなタイプの人はほとんど出てこないですよね(笑)。制作が発表されている、女性版バチェラーの『バチェロレッテ・ジャパン』も気になっています。どんな男性が出てくるんでしょうね?

Numoto:男性メンバーの年齢とかも気になりますよね。若い子なのか、ちょっと上なのか。

編集部:「イケメンバトルロイヤル」とうたわれているAbemaTVの『かぐや姫と7人の王子たち』に近い感じになるかもしれませんね。

AbemaTVオリジナル恋愛リアリティーショー

藤谷:Abemaは若者向けの恋愛リアリティーショーが多いですよね。周囲を観ていても、今の若い子の多くは『オオカミくんには騙されない』などのAbemaTVの恋愛リアリティーショーや、YouTubeのカップルチャンネルを見ているイメージがあります。

Numoto:わかります! MixChannelなどのライブ配信アプリでもカップルアカウントが流行りましたし、今の若い子はリアルな恋が好きですよね。

編集部:テレビドラマの恋愛ものはシーン全体的に見るとやや低迷気味なのに、不思議ですよね。

Numoto:若い子はスマホで観るから、視聴率には出にくいんですかね? あとは、リアリティーの差もあるかもしれないです。恋愛リアリティーショーの出演者は、InstagramなどのSNSをやっていることが多い印象なので、そこからデートの写真を見られたり、二人の普段の様子を楽しめたりするから、視聴者はより身近に感じられるのかな。

藤谷:実際にInstagramで見て、若い子たちのコメントを読むと熱量のすごさにびっくりしますね。『オオカミ』シリーズなんて、ネタバラシしたあとでも「(あなたオオカミくんだったけど、)本当は○○ちゃんのこと、好きなんですよね?」みたいなコメントが出演者に殺到していたり。みんな真剣に観てるんですよね。『オオカミ』シリーズを作った人は、天才だけど悪魔だなあと思いますね(苦笑)。

Numoto:結構、傷つきますよね。『オオカミ』シリーズは、視聴者も一緒に精神的に削られていく気がします。

編集部:確かに、全員疑わないといけないですもんね。Abemaのリアリティーショーは、テーマやルール、設定など一手間加えられている作品が多い印象です。それが逆に自然なドラマを生み、視聴者に没入感を与える。それによって、よりリアルに感情を揺さぶり、夢中にさせるんですかね。

Numoto:ルールがあるっていうことは、何か問題が生じたときに「だってこれがルールだったじゃん」と出演者側が言える強みもありますよね。

藤谷:『オオカミ』シリーズなどの恋愛リアリティー番組に出ることでブレイクするケースも多いですが、逆に『私の年下王子さま』(AbemaTV)に出た若手俳優がファンから「推しのそんな姿見たくない」と反発されたケースもありました。出演する方にとっては、諸刃の剣なのかもしれません。『テラスハウス』でも、ケニーが酔って、バンドやライブに対してモチベーションが低いという発言を一度していたじゃないですか。「もし、私がこのバンドのファンだったら辛いな……」と思ってしまいました。

Numoto:インフルエンサーとしての側面もありますよね。実際にみていると、出演者同士でお互いをタグ付けし合って、互助作用的にフォロワーを増やしていたりとか。

藤谷:それは感じますね。

Numoto:(資料を見ながら)『勝負の冬』(AbemaTV)とか私、具体的に知らないかも。

編集部:受験恋愛リアリティーショーですね。大学合格を目指して、生徒となる女子高生が先生となる男性メンバーから勉強を教わって、その過程で恋も芽生えるのかという番組です。

藤谷:昔の『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)の「電波少年的東大一直線」を思い出してしまいますね。お笑い芸人の坂本ちゃんが東大受験を目指す企画だったんですけど、そういった既存のバラエティ企画に恋愛を掛け合わせているんでしょうか。

Numoto:受験関係はバラエティ番組や情報番組でも度々特集が組まれますよね。でも、恋愛が絡んだら受験に集中できなくないですか?

一同:確かに。

藤谷:これも諸刃の剣ですよね。好きな人がモチベーションになるのか、メンタルがボロボロになって集中できなくなるのか。フラれた上に、浪人生になってしまった場合を想像すると辛い。人の心を弄ぶ、Abema……!

Numoto:何も頭に入ってこなくなってしまいそう! でもこの作品気になります(笑)。

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