Twitchから有名ゲーム実況者大量離脱 マイクロソフトやYouTube、Facebookへ移籍の理由は?

 ストリーマーが移籍する理由を企業側の意図からも探ってみたい。Twitchからの移籍には、ライバル企業が提示した資金面でのインセンティブ(契約金)が大きいと言われているが、それに加えて、マーケティングや広告、マネタイズのサポートを確約したり、ストリーマーにとって柔軟性ある複数年契約の条件で合意できたことが移籍に繋がったはずだ。例えば2020年には、MicrosoftはXbox One後継機をリリース予定で、MixerストリーマーたちにはXbox関連のマーケティングに参加する機会が提供されると見られる(参考:Xbox One後継機はVR非対応、一方FacebookはBeat Games買収で攻勢強める VR市場の雄たちが下した決断)。

 また、ストリーマーたちの活動が、ゲーム実況に留まらなくなった活動の変化も要因の一つだ。King GothalionやNinjaはゲームを通じたチャリティ活動や、次世代ゲーマーの育成にも力を注いでいる。つまり契約する企業側が彼らのゲーム実況以外の活動の価値に理解を示し、協力的なサポート体制やシステム環境、資金的バックアップを用意できたことも、Twitch離脱の背景の一つにある。

 最後に、日本のメディアではあまり報じられていないが、実はNinjaやShroud、CouRageは「Loaded」というゲーマーのマネジメントエージェンシーと契約しており、Twitchからの一斉離脱の背景には、ストリーマーのビジネスやブランドとのパートナーシップ構築を専門とするLoadedが、他社から好条件を引き出せたことが大きいと推測されている。

■ジェイ・コウガミ(デジタル音楽ジャーナリスト、All Digital Music
デジタル音楽ジャーナリスト。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。「世界のデジタル音楽」をテーマに、日本のメディアでは紹介されないサービスやテクノロジー、ビジネス、最新トレンドを幅広く分析し紹介する。オンラインメディアや経済誌での寄稿のほか、テレビ、ラジオなどで活動する。
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