『テラスハウス』東京編:第9~12話ーーメンター的役割の香織とずっとチルってるケニーの対称性

『テラスハウス』東京編、香織とケニーの対称性

メンター的役割を担う香織

 繰り返しになるが、メンバーが固定されたまま次で13週目を迎えるというのは、今までにはおそらくなかった長さ。家を出て行く理由というのは様々ではあるものの、たった12週だと思える期間すらもメンバーが固定されないのがテラスハウス生活の難しさなのだろう。しかし長く続いているだけに、メンバー同士の意見がぶつかる瞬間というのも当然出てき始める。

 “テラハ史上一番怖いケンカ”が勃発したのは第9話、冒頭でのできごとだ。春花と莉咲子によるケニーをめぐる争いが、いつしか相手の性格を非難しだす口論に発展し、歯止めが効かなくなってしまうまでの長く苦しいケンカ。あまりにもリズムよく言葉の殴り合いが繰り広げられるものだから、思わず興奮して見入ってしまった人も多かったのではないだろうか。そのひとりである筆者は、「これはもう修復しようがないところまでいってしまったのではないか」と覚悟したものだ。

 ところがどっこい、彼女たちは次の日か2日後くらいに見事和解をしてみせる。「すぐ仲直りってなるのはちょっと気持ち悪くなっちゃう」と春花は正直に言うけれど、それに対して 「今日からまた春花ちゃんを知っていける時間をつくれたらうれしい」「考え方が一緒な部分を見つけていきたい」と莉咲子が歩み寄ったのは、たとえ表向きの発言であっても中々理想的な関係修復に見えた。のちのインスタ騒動のようにまだ完全に火は消えていないようだが、(性格の悪い見方をすると……)気の合わないもの同士が共同生活を続ける様子を見られるのも、『テラハ』の醍醐味のひとつに違いない。

 思うことがあれば遠慮せずに言うという“オープンさ”は、本シーズンの特徴なのかもしれない。流佳による香織への想いにしても、弟的な存在にしか見えないと言ってしまうだけで終わることもありえるが、そこから香織も含めてみんなで流佳を成長させようとする動きを見せるのが東京編の特異な点だ。“絵具”探しからの卵かけごはんという微笑ましいデートの最後、付いてきてもらったお礼と言いつつも会計を払われてしまう流佳。香織は後日、その理由について「流佳の思う“かっこいい”が、“よく見せること”に終始してる気がして……」と答えていたのはとても印象的だった。「なぜダメなのか」をちゃんと考えて、しかも相手を潰さないように優しく伝えることができる、年長者らしいこの香織の存在が間違いなくキーになっている。

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