『モンスターハンター フロンティアZ』サービス終了へーーその原因と今後への影響を考える

『MH2』ベースに限界か

 他の『モンハン』シリーズにはない特徴を持った『MHF-Z』だが、残念ながら今年12月にサービスを停止することが発表された。これは、様々な理由から総合的に判断した結果だろうだが、その一つに“ベースシステムの古さ”という問題があるように思う。

 『MHF-Z』は『モンスターハンター2(ドス)』(以下、『MH2』)をベースに開発されたタイトルである。『MH2』は、2006年にPS2で発売されたナンバリングタイトルの2作目だ。『モンハン』シリーズはもとより、PS2タイトルの中でもかなり珍しく、インターネットを通じたオンラインプレイにも対応した作品だった。もちろん『MH2』も、オンラインプレイ対応で、多くのプレイヤーが「ドンドルマ」(『MH2』オンラインの舞台)でハンターライフを楽しんだことだろう。そんな『MH2』は、以後の『モンハン』シリーズのベースとなった作品と言える。基礎システムの多くは『MH2』で確立され、その後の『モンハン』シリーズに受け継がれているのだ。

 『MH2』のオンラインを発展させたタイトル『MHF-Z』以降も、『モンハン』シリーズは多くのタイトルを重ねて、最新作『MHW』へと進化を遂げてきた。その間、『MHF-Z』がアップデートしてこなかったわけではないが、システムが一新された『MHW』に比べると、古臭さを感じざるを得ないのは事実だ。かといって『MH2』以降のシステムを吸収してゲームを作り変えるとなると、膨大な労力がかかる上に、既存の『MHF-Z』ユーザーの理解を得るのは難しいという問題があるのだろう。

『MHW』がPCでも発売された

 『MHW』がSteamで配信され、PCでプレイ可能となったのも、『MHF-Z』サービス停止の大きな要因の一つと言えるはずだ。オンラインゲームとしての色が濃い『MHF-Z』には本作だけの良さがあるが、『MHW』はよりラフにオンラインプレイできるため、若いゲーマー層に刺さっている。『MHW』PC版の売上は上々で、発売されてから数カ月間はSteamの売り上げランキング常連となっていたほど。ピーク時には33万人近くがプレイしていたというデータもある。さらに今秋には大型ダウンロードコンテンツ『アイスボーン』のリリースを控えており、より一層盛り上がるだろう。『MHF-Z』と『MHW』ではゲーム性の違いがあり、一概に“PCでプレイ可能な『モンハン』”として括るのは難しいが、影響は少なくなかったように感じる。

『MHF-Z』難民が『MHW』に流れるか?

 こういった大人気オンラインゲームがサービス終了になると気になるのは、現在『MHF-Z』をプレイしている人たちの行き着く先だ。『MHF-Z』は『MHW』とはシステムが全く異なるため、古参ハンターたちが『MHW』へと流れるのは、一見考えにくい。だが、PCでプレイ可能な『モンハン』というと『MHW』に限られてしまうため、流れていく可能性は充分にあると言える。『MHF-Z』のユーザーが『MHW』に流れて賑わえば、『MHF-Z』ファンにとっても、『MHW』ファンにとっても、良い結果になるのではないだろうか。

■tomokin
スマホとPCがないと生きていけない引きこもり系ガジェットオタク。普段はスマホやスマホ関連のガジェット、パソコン、ゲーミングデバイス、オーディオ製品などのレビュー記事をブログに投稿しています。サイト:https://tomokin-gadget.com

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