ファーウェイCFOがカナダで逮捕、原因は“イランへの制裁違反”? 広がる中華メーカー包囲網

次の標的となるのは……

 実のところ、アメリカ政府が圧力をかけている中国企業はHuaweiだけではない。同社と並ぶ中国スマホメーカーZTEにも、アメリカ政府の矛先は向かっている。

 ロイター通信は今年4月、アメリカ商務省が同国企業がZTEに対して製品を販売することを7年間禁止すると発表したことを報じている。この禁止命令は、同社が経済制裁を受けているイランや北朝鮮に対してアメリカ製品を販売したことに対する措置であった。この措置に対して同社はただちに猛抗議したが、その後6月に1億ドル(約110億円)の罰金の支払いと経営陣の刷新を条件を制裁措置を解除することにアメリカ商務省と合意した。そして7月、件の条件を満たしたということで制裁措置が解除されたことを日本経済新聞は伝えている。

 しかし、ロイター通信は11月29日、超党派のアメリカ国会議員がZTEの調査を同国政府に要請していることを報じた。調査を要請したのは、野党民主党所属ののアメリカ上院議員クリス・バン・ホーレン議員と与党共和党所属のマルコ・ルビオ上院議員である。要請した内容は、ベネズエラ政府が自国民を監視するために設けるデータベースの構築に同社が協力し、アメリカ製品を違法に使用していないかどうか、というもの。調査を要請したふたりの議員は、同社に対する制裁を強く支持してきたことで知られている。

 件の調査要請に関して、ZTEとベネズエラ政府、さらにはアメリカ関係省庁もコメントを出していない。とはいうものも、今回のHuawei幹部が逮捕されたという事態をうけて、ZTEに対する風当たりが強くなることが予想される。

 以上のような米中対立を背景とした世界的に広がる「中華メーカー包囲網」の形成は、日本政府と日本企業にとっても対岸の火事ではない。近日中に、日本政府あるいは国内通信事業者から何らかの発表がある可能性は決して低くはないだろう。

トップ画像出典:Huawei Mobile日本法人Twitterよりロゴを引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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