メンバーの死を乗り越えたEIGHT OF TRIANGLEに見る “バーチャル男性アイドル”の可能性

 さらにエイトラの活動は音楽だけにとどまらない。Neonがスマートフォン専用RPG『ファイブキングダムー偽りの王国―』の声優を務めることになった。Neonは、諏訪部順一、茅野愛衣、佐倉綾音ら豪華声優がメインキャストを務める本ゲームで、バーチャルYouTuberのミライアカリに続く2人目のバーチャルキャラクターとのコラボを果たす。また、自身が主題歌を担当したとなっている『終電後、カプセルホテルで、上司に微熱伝わる夜。』の第1話にゲスト声優として参加した。

 2015年ごろから『あんさんぶるスターズ!』『KING OF PRISM by PrettyRhythm』などの二次元男性アイドルが人気を得てきた。2017年に入るとVTuberが爆発的に成長していき、3Dモデルも世間に浸透していった傾向がある。そんな中、エイトラは2015年から3Dでの精力的な活動を続けてきたバーチャル界の古株と言える。

 エイトラのこれまでの活動を振り返ると、楽曲制作とラジオがメインとなっている。ライブ活動は過去に2回のみとリスナーと直接顔を合わせる機会が極めて少なかった。これはエイトラの活動方針もあるが、大きな要因として技術的な部分が挙げられていた。しかしここ数年、バーチャルキャラクターがライブをすることのハードルが下がってきている。ニコニコ超会議を始め、初音ミク、輝夜月などが大規模なライブで成功を収めたことから“バーチャルキャラクターのライブ”が一般的なものとなった。

 エイトラは11月24日に行われる3rd Live「Colorful△Triangle」終演後にリアル握手会を実施する。具体的な内容は明らかにされていないが、技術の進歩に伴い“バーチャルアイドルがやりたいことをやれる時代”が近づいてきていることを実感するニュースである。それと同時にエイトラのライブ活動への意欲も期待できる。

【11/24(土) 3rdライブ開催!】EIGHT OF TRIANGLE 3rdライブ 『Colorful△Triangle』

 また、エイトラはアイドルという観点から見ても可能性を感じることができる。偶像的な存在であるアイドルがバーチャルになることは、リアルとの境界線をより曖昧にする。このことがアイドルとしての本質(ここでいう偶像的な部分)をより際立たせる。男性3Dキャラクターが目の前で歌い、踊り、オーディエンスが熱狂するライブは通常のライブでは生まれない独特の雰囲気を帯びている。

 そしてアイドルでありながらコンスタントなリリースを続けていることも注目すべき点だ。現在エイトラはアニメやゲーム界隈での活動が中心となっている。しかし音楽的な実力を兼ね備えている分、活動の幅がさらに広がっていくことが期待できる。

 “バーチャル男性アイドル”は現状では珍しい存在だ。だが将来的には当たり前のジャンルとなり、そのパイオニアとしてエイトラの名前があがる日が来るかもしれない。エイトラはそんなことを期待させる現代と調和した先駆け的なユニットである。

(文=馬場翔大)

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