『たけしの挑戦状』はなぜ北野映画の原点なのか? 歴史的“クソゲー”に見る、北野武の作家性

 また、他にもモチーフレベルの共通点でヤクザを好んで登場させるというのもある。南海の宝島を冒険するストーリーにまで無理にヤクザを出すあたりに、ビートたけしの執着が読み取れる。

 また北野武は、映画のロケーションに沖縄を選ぶことが多く、キタノブルーとも言われる美しい蒼色の海は彼の作品のトレードマークになっている。「たけしの挑戦状」で主人公が目指すのが、南海の宝島なのはこれと無関係ではないのではないだろうか。

なぜクソゲーと呼ばれたか?

 ここまで述べてきたように、『たけしの挑戦状』は「ドライかつ身近な死」「コミュニケーションの不全感」の2点で、北野映画との関連を強く見いだすことができる。

 ビートたけし/北野武の作家性が強烈に反映された本作が壮絶な酷評を受けたのは、「ゲーム=がんばりさえすればクリアできるもの」という前提をたけしが打ち壊したためであろう。「解けるもんなら解いてみろ」、ビートたけしのそんな思いが『たけしの挑戦状』というタイトルに込められている。

参考文献
中川大地『現代ゲーム全史』早川書房
フジタ『ファミコンに育てられた男』双葉社

■脳間 寺院(のうま・じいん)
京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクはだいたい友達。「ゲームをもっと面白く」をモットーに記事を書くゲームライター。最近セーブデータがよく消える。
Twitter:@noomagame

■たけしの挑戦状
公式サイト : https://www.taito.co.jp/classics
発売元 : TAITO
価格 : 840円(税込)
ジャンル : アクション アドベンチャー
配信先:iOSGooglePlay

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