山田孝之×菅田将暉『dele』が描く「デジタル遺品」の現状は? 専門家に聞く“世界的な問題点”

『dele』が描くデジタル遺品の現状は?

 デジタル遺品を普通の遺品にするためには、「スマホのパスワードやネット銀行の情報などを書いた紙を預金通帳や実印と一緒に保管しておき、1年に1度更新するのを習慣づける」のが、一つの対処の仕方だと古田氏は教えてくれた。最後に、古田氏から見た『dele』でのデジタル遺品の描かれ方について感想を聞いた。

 「『dele』は、細かいディテールの中に、さりげなくデジタル遺品が扱われているのに好感が持てます。例えば、個人情報保護法が制定されたのは2005年で、それ以前のホームページは番地まで住所を書いてしまっていたり、電話番号まで載せてしまっていることが当たり前でした。その背景を分かった上で、物語には、2005年以前の過去の情報を辿っていくという要素がサラッと盛り込まれていたりして、相当調べ込んでいるなと思いました。

 隠されたデジタルデータを何とか解明していくというのがドラマの醍醐味だと思いますが、一方で現実のデジタル遺品は、本人が隠したいであろうものについて、遺族が困らないような形で配慮した上で、隠し通すというのも一つの筋です。託すこと、隠すこと、その辺を自分で生前にコントロールして上手くやっていくことも、普通の遺品以上に意識したほうがいいかもしれません。

 『dele』はデジタル遺品を異質なものではなく、本質的には情のこもった遺品の中のひとつに過ぎないということをきちんと表現しています。ドラマを通して、デジタル遺品についてより多くの人に知っていただき、自分の身の回りについて今一度、気づいてもらえたら嬉しいです」

 デジタル端末、SNSの普及とともに、さらに問題視されていきそうなデジタル遺品だが、一人ひとりの意識によって、それは簡単に普通の遺品にすることができる。『dele』を通して、その意識が多くの人に芽生えることを期待したい。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
金曜ナイトドラマ『dele(ディーリー)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~深夜0:15放送(※一部地域を除く)
出演:山田孝之、菅田将暉、麻生久美子
原案・パイロット脚本:本多孝好
脚本:本多孝好、金城一紀、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦
音楽: 岩崎太整、DJ MITSU THE BEATS
ゼネラルプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:山田兼司(テレビ朝日)、太田雅晴(5年D組)
監督:常廣丈太(テレビ朝日)、瀧本智行
撮影:今村圭佑、榊原直記
制作協力:5年D組
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://dele.life/

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