体験型アート展『DOLLHOUSE』レポート マネキン・デュオFEMMとエンターテックのコラボ空間

マネキンデュオとテックのコラボアート展レポ

立体サウンドが広がる次世代DJ空間

 続いて、事前にスマホにインストールしておいた専用アプリを起動した状態で、4階へと向かう。この専用アプリは、演出の一環で使用するとのことだ。

 4階では、FEMMとマネキンに扮したダンサーらによるパフォーマンスが繰り広げられる。このフロアには、立体サウンドシステム「KISSonix 3D」が導入されており、スピーカーはLRのふたつしかないにも関わらず、前後左右から音に包まれるような音響空間が広がっている。また、通常のサラウンドであれば立ち位置がある程度固定されるのに対し、「KISSonix 3D」は、フロア内のどの場所に立っていても聞こえ方に大きな変化がない点も特徴的だ。

 フロア前方には、高輝度透明ディスプレイを配置したDJブース「MNGL」が。このディスプレイに映像が流され、音楽とビジュアルの両方を楽しむことができる。通常展示では映像はループで流されているそうだが、週末の夜にはクラブイベントが開催され、VJによるリアルタイムの映像演出がなされるそうだ。

 「KISSonix 3D」と「MNGL」、そしてマネキンたちのパフォーマンスを楽しんでいると、ふいに手に持っていたスマホが振動し、ライトが点滅しはじめた。「おや?」と思って周囲を見ると、他の来場者のスマホにも同じような効果が見られる。どうやら、これが専用アプリによる演出らしい。最後には着信音が鳴り響き、画面に映像も流れはじめた。このように、突然スマホが作動する仕掛けは、会場に流れる非可聴音(人間の耳には聞こえない音波)にあった。アプリを起動することで、スマホのマイクも起動。会場に流れる非可聴音をマイクが感知し、そのタイミングに合わせて、ライトの点滅やバイブ振動、着信音が鳴る、という仕組みになっている。

インスタレーション展示も見どころ十分

 パフォーマンス終了後も、会場内の展示を自由に観賞できる。

 3階は、河野未彩の代表作「RGB_Lights」の展示コーナー。「赤(Red)」「緑(Green)」「青(Blue)」、つまり光の3原色を使った照明による、インスタレーションとなっている。普通、光が当たると物の影は黒くなるが、光源に3原色をズラして使うことで、カラフルな影を生み出すことができるのだそう。展示物はもちろん、自分自身の影もカラフルになる。会場内では写真撮影も可能なため、ぜひフォトジェニックな1枚を撮影してみてほしい。

 3階にはもうひとつ、パナソニックとの共創で今年のCESで発表されたAR/MRライヴ装置「ACRONS」も展示されている。こちらは、間隔をあけて置かれた3枚の透過型スクリーンにそれぞれ映像を流すことで、立体的な視覚効果を生む、というもの。スクリーンの間にはジオラマが置かれているが、ジオラマと重なった部分の映像もしっかりと見えるから不思議だ。

 また、2階では、先ほどのライブで登場した「高速追従プロジェクションマッピング」を、来場者自身も体験することができる。センサーの付いた白衣を着てステージに立つと、腹部に映像が投影される。この際、自分の持ち物など、好きな物を投影させることも可能だ。

会場内に潜む、アナログな仕掛けにも注目

 それぞれの展示については、常駐スタッフが細かにアテンドしてくれるため、予備知識がなくとも十分に楽しめる。また、会場内にはさまざまな動物のオブジェが隠されていたり、見る角度によって絵柄が変わる絵画(レンチキュラー)も展示されているなど、アナログな仕掛けにも注目だ。

 開催期間中は展示のみの観賞も可能だが、公式サイトにはライブパフォーマンスの公演スケジュールが公開されているので、ぜひこちらを事前に確認の上、会場へ足を運んでほしい。

■まにょ
ライター(元ミュージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

■イベント情報
『DOLLHOUSE』
開催日時:2018年8月4日(土)~ 2018年8月27日(月)
11:00 open - 20:00 close
チケット代金:2,000円 (税込 / 会場で発売される当日券のみ)
場所:表参道 B SPACE
〒107-0061 東京都港区北青山3-5-25
東京メトロ 銀座線・千代田線・半蔵門線
表参道駅 A3出口すぐ (表参道交差点の交番の真隣)

※FEMMの出演スケジュールなど、詳細はオフィシャルWEBサイトからご確認をお願いします

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