吉沢亮×板垣李光人が互いに受ける“刺激” 「いろんな役が見たいと思わせてくれる存在」

吉沢亮が主演を務める実写映画『ババンババンバンバンパイア』は、銭湯で働く美しきバンパイア・森蘭丸が、天真爛漫な高校生・立野李仁の血を求めて奔走する姿を描いたバンパイア・ラブコメディ。原作は『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載中の奥嶋ひろまさによる同名コミックだ。本作で吉沢は、理性を忘れがちなバンパイア・蘭丸役を担当。李仁役は、作者が本人をイメージして名前まで反映させたというエピソードを持つ板垣李光人が演じている。
NHK大河ドラマ『青天を衝け』以来の共演となる二人に、再びタッグを組んだ心境や、互いを“俳優”としてどう見ているかについて語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
吉沢亮、板垣李光人は「李仁くんそのものでした」

――お二人の共演は『青天を衝け』以来ですが、久々に再会してみて、お互いにどんな印象の変化を感じましたか?
吉沢亮(以下、吉沢):『青天を衝け』の頃は本当に現場が慌ただしくて、僕自身も役に追われていて余裕がなかったんです。だから、李光人くんとも実はそんなに言葉を交わせていなかった。お互いに会った感覚だけ残っているけど、会話の記憶はほとんどないという(笑)。今回は、撮影の合間にたくさん話す時間が持てたので、ちゃんと「人として会話できたな」という感覚があります。
板垣李光人(以下、板垣):僕も当時はまだ現場に慣れきれていなかったというか、大河ドラマという空気に少し圧倒されていて。自然と自分の殻にこもってた部分があったのかもしれません。なので、今回吉沢さんとこの作品でご一緒できて、やっと話せたのが嬉しいです。僕自身も余計な肩の力が抜けて、ちゃんと向き合えた感じがします。

――撮影前にはご飯に行かれたそうですね。そのときはどんなお話を?
吉沢:本当に、ひたすらくだらない話をしてました(笑)。
板垣:仕事の話はほとんどしてないかも(笑)。むしろ、その場の空気に任せて、素のままでいられたのがよかったです。
――どういった経緯で行くことになったんですか?
吉沢:共通の友人が「今度板垣くんと共演するんでしょ? ちょうどご飯行く予定があるんだけど、一緒にどう?」と誘ってくれたんです。ほぼずっとゲームの話をしていた気がします(笑)。昨日も一緒に戦ってました。
板垣:さっきぶりという感じですよね(笑)。

――お二人が原作を初めて読んだ際の印象について教えてください。
吉沢:まず最初に思ったのは、「なんて仲のいい家族なんだろう」ということでした。家族で背中を流し合ったり、団らんの時間を自然に過ごしている描写があったのがすごく印象的でした。それに、敵も味方もどこか抜けていて、でもそこがすごくかわいらしいというか、キャラクター一人ひとりに愛すべきポイントがあって、読んでいて楽しかったです。
板垣:確かに、家族のシーンは特に素敵でしたよね。個人的に、今まで銭湯に行く機会がそこまでなくて、ましてや家族で一緒に行くなんて、小学生の頃以来だったなぁ、と懐かしい気持ちになりました。映画でも、家族で縦に並んで背中を流し合ってるシーンが出てきますが、李仁(板垣演じる)が15歳なのに自然とできていて、そういう関係性がとても素敵な家族だなと感じました。

――板垣さんはご自身でも絵を描かれるそうですが、そういった視点から見て、原作にはどんな魅力を感じましたか?
板垣:僕、漫画を読むときって、まず絵に惹かれることが多いんです。だから、今回もパッと見たときに「このタッチ、好きだな」って思いました。奥嶋先生の絵って、線が繊細で美しいんですよ。でもそれだけじゃなくて、キャラクターのちょっとした表情の動きや空気感の描き方が本当に巧みで。バンパイアって聞くと、最初はどうしてもクールで神秘的な存在を想像するじゃないですか。でもこの作品では、どこか抜けてて、ちょっとおバカで、それが逆にかわいらしい(笑)。そのギャップを絵の中でちゃんと成立させているのがすごいなと思いました。
――実写映画でキャラクターを立ち上げるにあたって、意識していたポイントはありますか?
吉沢:あくまで映画の脚本に沿って演じることになるので、お芝居の部分では原作をそこまで意識していませんでした。そのぶん、体づくりや髪型など、見た目の部分ではできる限り原作に近づけられるように意識していました。メイクさんやスタイリストさんの力も借りながら、ビジュアルでキャラクターの説得力を出せるように心がけていました。
板垣:僕の場合は、モデルになっているのが自分自身なので、最初は「どう演じたらいいんだろう?」と迷う部分もありました。でも、たぶん人生でもうないだろうなとも思っていて。そんな中で、現場で奥嶋先生にお会いしたときに「映画は映画なので、自由に演じてください」と言っていただけたんです。その言葉に背中を押されて、原作と映画は別のものとして考えて演じるようにしていました。

――実際に現場でお互いの演技を見て、どんな印象を受けましたか?
吉沢:本当に李仁くんそのものでした。あのキャラクターって、ある意味一番漫画的というか、演じるのが難しい役だと思うんです。しかも、純粋でピュアな15歳という設定を、20歳を過ぎてから演じるってなると、ちょっとわざとらしく見えがちじゃないですか。でも、それをまったく感じさせずに、自然にそこに“李仁くん”として存在していたのが、本当にすごいなと感じました。
板垣:ありがとうございます……! 僕も、吉沢さんは、「まさに森さんだな」と思って見てました。僕自身、これまであまりコメディの経験がなかったので、森さんとの掛け合いの中で、“大真面目にやるからこそ面白い”というテンポや間合いを体感できたのが、勉強になりました。

――吉沢さんはこれまでも多くのコメディ作品に出演されていますが、コメディにおける演技で特に意識されているポイントはありますか?
吉沢:僕の場合、コメディでは特にテンポ感を大事にしています。セリフのスピードだったり、相手に何か言われたときにどのタイミングで返すかとか、「ここは間をあけたほうが面白くなるかな?」っていう“間”の取り方ですね。 今回はバンパイア役ということで、“バンパイアがふと人間っぽさを見せる瞬間”のギャップや抜け感をどう見せるか、という部分も意識して演じていました。
板垣:参考になります……!