『Dr.チョコレート』野田と唯に訪れる訣別の予感 少しずつ明らかになる“め組”のねらい 

『Dr.チョコレート』訣別の予感

 奥泉(西野七瀬)のもとに送られてきた、唯(白山乃愛)がオペをしている姿を収めた写真。それによって彼女はDr.チョコレートの正体にたどり着いたわけだが、野田(坂口健太郎)が食事の席でこぼした言葉に、記事としてその事実を書くことを躊躇う。5月20日に放送された『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)は第5話。ドラマ中盤に差し掛かり、終盤の輪郭が見えはじめてきたように思える。それは2年前の事件の真相と“め組”のねらいが少しずつ明らかになってくることに加え、野田と唯に訣別が訪れる予感である。

 野田のもとに肝不全の症状で苦しむ息子を助けてほしいという依頼が舞い込む。コンタクトを取ってみるものの、依頼人の結城(今井翼)は息子を病院に連れて行っていないうえ、とても1億円の報酬を工面できるようには見えない。さらに秘密保持契約書に名前を書くことを躊躇する様子と、ペイシェントである息子の名前が苗字と同じ読みの“勇気”である点に違和感を抱く野田。それでも子どもがペイシェントである以上、蔑ろにはできないと迷っているところに、突然結城が訪ねてくる。そして結城は、野田に自分が“め組”の人間だったことを告白するのである。

 唯を見るなり、真っ先に彼女がドクターチョコレートであると断定して声を掛ける結城の様子から、野田は“め組”にドクターチョコレートの正体が知られていることを察する。そして、チームの面々がオペを行なっている最中に、どこまで自分たちのことを掴んでいるのか、また“め組”とは一体なにかを結城に訊ねる。1年前に結城がインターネット上で見つけ、セミナーに参加した“め組”。「目を覚ませ(めをさませ)」の“め”を頭文字に、国が“闇の組織”に支配されているという陰謀論を唱える“め様”なる人物の信奉者の集まりだというのだ。

 病院や警察は“闇の組織”に支配されている(だからこそ勇気の母親は彼を病院に見せなかった)こと、世直しと称して“闇の組織”の人間を暗殺することもありうるということ。野田が訊ねた「どこまで掴んでいるか?」という質問に明確な答えは出されず、結城自身も2年前の事件については知らなかったわけだが、“め組”がドクターチョコレートを監視していると野田は知らされることになる。一方で警察内部にいる“め組”メンバーである薮下(石川恋)は、結城の家の前で野田の車を見つけても、誘拐に巻き込まれた子どものふりをしてやり過ごす唯を見ても不敵な笑みを浮かべるだけにとどまる。おそらく、単に命を狙う以外の目的があるのだろうか。

 いずれにせよ今回のエピソードでは、血の繋がりがないながらに信頼を築くクライアントとペイシェントの関係や、残高(小沢征悦)が元妻と離婚して以来10年ぶりに面と向かって話をする娘との関係によって、ドラマの要である野田と唯の擬似親子としての関係がさらに強固なものとして描かれていたように思える。警察署から逃げ出してアジトに戻ってくるや野田に抱きつき、離れ離れになることの恐怖を語る唯。その野田は、北澤(眞島秀和)夫婦から唯を引き取りたいという提案を出される。序盤で野田が奥泉に話した「唯をなにがあっても守る」という言葉は、なにかが起こる前に2人が離れ離れになることを暗示しているといえよう。

■放送情報
『Dr.チョコレート』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv

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