『イルタ・スキャンダル』チョン・ギョンホの極秘授業スタート 人生は数学よりも難しい

『イルタ・スキャンダル』チヨルの極秘授業

 人生には正解がなく、複数の模範解答があるばかり。これは『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』(Netflixで配信中)第6話のタイトルである。人気スターの数学講師、チェ・チヨル(チョン・ギョンホ)にとって、必ず正解を導き出せる数学と正反対にあるのが人生なのだ。

 さて、チヨルと惣菜店の社長ナム・ヘンソン(チョン・ドヨン)の間である交渉が成立した。内容はチヨルがヘンソンの娘ナム・ヘイ(ノ・ユンソ)に個別の家庭教師をする代わりに、1日2回お弁当を売ること。もちろん周囲に知られないよう秘密厳守だ。ヘンソンにとっては有り難すぎる条件だが、チヨルにとっても食生活が保障されるメリットは大きい。ご飯を食べてお腹いっぱいになってベッドに横たわる、人間らしい生活を送るチヨルの姿に安堵してしまう。それに研究室にある観葉植物が邪魔でも文句が出ないときは絶好調である証拠だ。

 ところが、ヨンミン(ユジュン)がザ・プライド学院の建物から落下して亡くなった事件に続き、元教え子の女子生徒との関係について悪質な書き込みがあり、精神的に大きなダメージを受けたチヨル。心配するヘンソンに一線を超えないように忠告するが、先に超えてきたのはチヨルの方ではないだろうか。講師人生が断たれるかもしれないリスクを負ってまで個別の家庭教師をするのは、きっと医大対策クラスの合格を不正に取り消されたヘイのためでもあるからだ。それに気づかないのがチェ・チヨルという心の温かい人間なのだけれど。

 あることがきっかけでストーカーと誤解され、警察沙汰になってしまったヘンソンの弟ナム・ジェウ(オ・ウィシク)。自閉スペクトラム症であることが明かされ、この一件でジェウの楽しみにしていた日常が取り上げられてしまう場面が描かれた。ヘンソンはこれまでも悔しさで何度も涙を流してきたのだろう。けれど、その度にジェウの手を取ってきたのだとわかる。だから、ジェウにとって一番怖いのがヘンソンなのは当たり前なのだ。怖くて強いからこそ家族を守ってきてこられたのだから。一部始終を見ていたチヨルは、一人でお酒を浴びるヘンソンに付き合うことに。2人のタイプは全く違うが、ほっとけない性格はよく似ている。

 気晴らしにチヨルは釣りに、ヘンソン一家はキャンプに出かけたところバッタリと遭遇してしまう。自分はいないものとして過ごしてくれと頼むチヨルだが、ヘンソンが声をかけないわけがない。嫌々ながらも一緒に過ごしたことでチヨルの固まった表情がほんの少し緩み、2人の距離が縮まったように見えた。数学は1人で解けても、人生は1人で解けなくてもいい。誰かと一緒に解いてもいいし、2人なら答えを見つけられるかもしれない。そんなメッセージが伝わってくる時間だった。

 一方で、SKYママの勢いは相変わらずである。同じクラスの子が亡くなったのにもかかわらず、授業を強行したのは母親たちだ。「休講にしたからといって何か変わるのか?」というチャン・ソジン(チャン・ヨンナム)の意見は正論ではあるが、勉強するのは子供たちであって大人が押し付けていいものなのだろうか。

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