『舞いあがれ!』舞と貴司のワンシーンは“恋愛描写”なのか 掴み始めた夢と垂れ込める暗雲

『舞いあがれ!』掴み始めた夢と不穏な気配

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第16週の終わりに、筆者は「ようやく明るい未来へと向かっていく兆しが見え始めた」と綴っていたが、その予兆は確実に第17週「大きな夢に向かって」へと表れていた。

『舞いあがれ!』舞や貴司らに訪れた明るい未来の兆し 草刈正雄もサプライズで舞いあがる

『舞いあがれ!』(NHK総合)が第76話にて、ここ数週間にわたって続いていたつらく、厳しい展開からようやく明るい未来へと向かって…

 株式会社IWAKURAは、菱崎重工の荒金(鶴見辰吾)から提案された航空機部品の試作をついに完成させた。名付けられたのは「IWAKURA・夢」プロジェクト。亡き先代の浩太(高橋克典)が夢見た航空機部品作りは、今や舞(福原遥)やめぐみ(永作博美)だけでなく、IWAKURAを支える職人/従業員、さらにはチーム東大阪の夢にもなっていた。ボルト完成への最後の砦となったのは、転造。硬くて加工が難しいニッケル基合金を、強い力を加えて素材を変形させる加工工程だ。IWAKURAに再び戻ってきてくれた転造職人の小森(吉井基師)、そしてIWAKURAの大黒柱であるベテラン職人の笠巻(古舘寛治)の力もあり、品質試験に挑むためのボルトが出来上がった。夢へのスタート地点に立つための、第一歩というところだろうか。

 舞はボルト完成の報告をしに貴司(赤楚衛二)のいるデラシネへ。夕飯の献立を相談しにいくような、舞にとってデラシネは気兼ねなくいられる居心地のいい場所だ。そこに一本の電話がかかってくる。

 編集者・リュー北條(川島潤哉)からの、長山短歌賞の受賞を知らせる連絡だ。貴司の吉報に舞は自分のことのように喜ぶ。舞が貴司の手を握り、その手を貴司が握り返して、さらに舞が手を重ねて――。これを恋愛描写と捉えるのかは視聴者に委ねられている部分だが、舞にとって、貴司にとって、互いが互いの存在や努力を認められる関係性。それが舞と貴司なのかもしれない。

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