2023年は“なろう発アニメ”10周年イヤー！　最初の作品＆初心者オススメ作品は？

　小説投稿サイト・小説家になろうから生まれた作品を原作とするアニメ（本稿では「なろう発アニメ」とします）。その最初の作品を問われて、すぐに答えられるでしょうか？　答えは2013年10月から放送された橙乃ままれ原作の『ログ・ホライズン』。つまり今年2023年は、なろう発アニメが生まれてから10周年を迎えるのです。

　そんななろう発アニメは今や毎クール複数本存在するのが当たり前。2023年冬クールは筆者が把握する限り過去最高の14本が放送されています（続編や2クール目含む）。これだけ本数が多いと「どれを観ればいいかわからない」という人も多いでしょう。そこで今回は、全作品を全話観ている筆者が、なろう発アニメ初心者が自分の好みを探るためにオススメの5本をセレクト。手始めにこの辺りから手を付けてみましょう。

『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』（原作者：理不尽な孫の手）

　『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は34歳の引きこもり男性が異世界転生し、ファンタジー世界の天才少年・ルーデウスとして生きていくという物語。原作は“なろう”全投稿作品の累計ランキングで2013年10月から2019年1月という長期にわたって1位となっていた人気作です。

　そんな“なろう”の代表作のひとつだけにアニメ化も長年待望されていましたが、それが果たされたのは2021年とやや遅め。しかし本作を作るために制作会社まで設立されたというだけあって、映像クオリティの高さは特筆もの。全体的にとても丁寧な作りで、多くのファンを喜ばせました。なろう発アニメのスタンダード……とするにはあまりに出来が良過ぎますが、2023年に予定されている第2期放送の前に観ておくべき1作です。

『Re:ゼロから始める異世界生活』（原作者：長月達平）

　刺激的な物語を求めるなら『Re:ゼロから始める異世界生活』がオススメ。異世界に召喚された主人公のスバルが、唯一手に入れた能力“死に戻り”（死ぬと、記憶を持ったまま過去に戻る）を活かして過酷な運命に立ち向かうという内容です。

　無知・無能・無力・無謀なスバルこそややクセがありますが、彼が魅力的なヒロインのために文字通り命を賭けて絶望に挑む姿には胸を打たれること必至。上記した能力を活かして困難を乗り越えたと思ったら、さらなる困難が待ち受けていて……と、なかなか上手くいかないもどかしさも魅力でしょう。現在までTVアニメ4クールにOVA2本も作られたのも納得の面白さです。

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』（原作者：夕蜜柑）

　シリアス要素は薄く、とにかく冒険の楽しさに特化しているのが、現在第2期も放送中の『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』。VRMMO世界を舞台に、極端に防御力が高い女性プレイヤー・メイプルとその仲間たちの物語です。

　大沼心監督自身がMMORPGのエンジョイ勢だったようで、それが存分に反映されたのんびりとした作風ながら、戦闘シーンなどは迫力があり見ごたえ十分。現実の多くのMMOゲーム同様、エンジョイ勢もガチ勢も楽しめるのではないでしょうか。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』（原作者：山口悟）

　追放ものやスローライフ系など、スタンダードな異世界冒険もの以外にも多くのジャンルが生まれている“なろう”。そのなかで一世を風靡した“悪役令嬢もの”で最初にアニメ化したのが『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』です。

　内容は、乙女ゲーム内のハッピーエンドがない悪役令嬢に転生した女性が、プレイしていた記憶を頼りに破滅フラグを回避していくというもの。イケメンに囲まれた女性が主人公ではあるものの、ラブコメとして面白く男性にも十分にオススメ。第2期まで放送されたうえ、2023年には映画化も決まっている人気作です。