杉野遥亮は“水”のような俳優だ 『罠の戦争』『どうする家康』で2023年も大活躍の予感

杉野遥亮は“水”のような俳優だ

 杉野遥亮は、“水”のような俳優だと思う。無色透明だからこそ、何色にでも染まる柔軟さがあり、作品を観るたびにまったくちがった一面を見せてくれる。そして、人間の必需品である水と同じように、今や映画・ドラマ界で欠かせない存在になっていると言っても過言ではないだろう。

 筆者が初めて杉野の演技を見たのは、彼が俳優デビューを果たした『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)でのこと。演じていた営業マン・正宗は、とにかく爽やかで愛らしいキャラクターだった。両手いっぱいに差し入れを持ち、悦子(石原さとみ)が働く校閲部に現れた場面では、思わず手を差し伸べてあげたくなった人もいるのではないだろうか。クセが強い面々が集まっているなかで、彼のピュアさが視聴者の心を和ませる役割を果たしていた。

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 その後は、端正な顔立ちを生かし、『兄に愛されすぎて困ってます』(日本テレビ系)や、『あのコの、トリコ。』(2018年)、『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019年)など少女漫画の実写化でも活躍。数々のラブストーリーに出演してきた杉野だが、大きなターニングポイントとなったのは、やはり『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)だろう。彼が演じた森生は、その名を出しただけで相手が逃げていくほど有名な不良。これまで好青年な役柄が多かっただけに、どのような演技をするのかまったく想像がつかなかった。

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 しかし、スタートしてみると、見た目は怖いけれど心のなかにピュアさを秘めた森生が画面のなかにいた。弱視の女の子・ユキコ(杉咲花)を一途に想う彼のことを、どんどん応援したくなっている自分がいた。『僕の姉ちゃん』(テレビ東京系)の時にも感じたが、杉野が演じるキャラクターを応援したくなるのは、なぜだろう。彼自身が持つ天性のピュアさが、そうさせているのだろうか。バラエティ番組で見せる計算のない姿。感じたことをそのままあっけらかんと伝えてしまう素直さには、時々ハラハラすることもあるけれど、本当に邪気のない人なのだろうな……と思わされる。そんな杉野だからこそ、『直ちゃんは小学三年生』(テレビ東京系)でリアルな小学生役を演じても、見事にハマることができたのだろう。

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