『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』トリビア解説 X-MENに繋がる要素も?

『ブラックパンサー』最新作のトリビア解説

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は現在公開中の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のトリビアです。

 本稿は、必ず『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ご鑑賞後にお読みください。ネタバレ全開です。

新ブラックパンサーは……

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

 チャドウィック・ボーズマン氏が演じたティ・チャラから新ブラックパンサーの座を受け継いだのはシュリでした。実はコミックでもティ・チャラが重傷を負いシュリがブラックパンサーとして活躍するというストーリーがあります。

 なおコミックではシュリはティ・チャラの異母妹です。またこの映画にはグリオというAIが登場しますが、もともとグリオとは西アフリカで人々にアドバイスする部族の語り部とか吟遊詩人、時に精霊的な役割を果たす者のことを意味するそうです。

新ブラックパンサーを導いたのは……

 シュリが神秘のハートのハーブを飲んでスピリチュアルな体験をした時、彼女の前に現れたのは前作でティ・チャラと戦ったキルモンガーことウンジャダカでした。前作では、ブラックパンサーとキルモンガーは、コインの表と裏のように描かれ、要はダークサイド側のブラックパンサー的に描かれています。今回、復讐心にとらわれ、闇落ちしかけているシュリの前に彼が現れたのは当然と言えば当然かもしれません。マイケル・B・ジョーダンが演じたキルモンガーは大変人気があり、彼の再登場を願う声も多かった。こういう形での再会も嬉しいです。

 なお、キルモンガーは黒地に金がはいったブラックパンサースーツを着ています。今回シュリのブラックパンサースーツに金が入っているのは、彼女が無意識にキルモンガーを目指していたのかもしれませんね。

なぜニンジンを食べているか

 今回の作品で、ぐっとファンが増えそうなのがジャバリ族のリーダー、エムバクです。最初の登場シーンでニンジンかなにかを食べながら、評議会のテーブルに座りますよね。前作で「俺はベジタリアンだ」というセリフがあり、それを受けての描写だと思います。

ミッドナイト・エンジェルズ登場

 ワカンダ国の誇る親衛隊ドーラ・ミラージュのメンバーの一部が、シュリの発明した青いパワードスーツを着て活躍します。シュリはこのスーツ部隊をミッドナイト・エンジェルズ(真夜中の天使)と呼びます。コミックにもこのミッドナイト・エンジェルズは登場。ドーラ・ミラージュの派生部隊であり、より過激なミッション(暗殺とか)に従事する戦闘集団です。あのデッドプールと組んだこともあるのですよ。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で『デッドプール』の第3弾が作られるので、将来的に映画の方でもデッドプールと共演する可能性も?

ネイモアとは……

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

 本作の重要なキャラクター、ネイモア。ネイモア・ザ・サブマリナーとよばれることもあります。現時点で最新のMCUヒーローですが、マーベルの歴史においては最古参のヒーローの一人です。1939年に刊行された『マーベル・コミックス』の第1号に登場。タイトルは『サブマリナー』でした。実はこの号には初代ヒューマン・トーチ(ファンタスティック・フォーの同名の超人とは別)という炎のヒーローも登場しており、編集部的には火と水のヒーローを揃えたかったようです。コミックの中ではヒーロー的に描かれこともあれば、やはり海底王国を守るため、人類に対しヴィラン的立場をとることもあります。

 コミックにおいては、海底で氷漬けになっていたキャプテン・アメリカを発見し現代に蘇らせるきっかけを作りました。第二次世界大戦中、キャプテン・アメリカ、初代ヒューマン・トーチと共に、“インベーダーズ(悪の帝国に侵略する者たち)”というチームを組んで活躍したこともあります。

 今回の映画で、ネイモアの襲撃に対しエムバクが「侵略者だ!(インベーダーズ!)」と警告して叫ぶシーンがありますが、このコミックへのオマージュでしょう。なおネイモアはイルミナティという秘密グループのメンバーでもあります。このイルミナティは映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にも登場しました。したがって、当初はこの『ドクター・ストレンジ』の映画でネイモアをデビューさせるプランもあったそうです。

タロカンとは……

 このネイモアですが、コミックでは海底王国アトランティスの王となっています。しかし映画ではアステカ(マヤ文明)の神話に出てくる楽園のタロカンという設定を打ち出しています。DC映画の『アクアマン』がアトランティスをフィーチャーしているので、それとの差別化を図ったと言われていますが、今回映画で描かれたネイモアたちのルーツを考えると確かにタロカンの方がしっくりきますね。

 なおMCUにおいて『アイアンマン2』でニック・フューリーが監視しているモニターにおいてアフリカ近くの海をシールドがチェックしているとわかるシーンがあります。つまりシールドはタロカンに気づいていた?

 また『アベンジャーズ/エンドゲーム』において、オコエの「海で起こった地震のことは関与しない方がいい」といったセリフがあり、ワカンダはネイモアたちのことを知っていたのではないか? とファンの間では噂になっていました(僕もそれを信じていた)。しかしニック・フューリーはともかく、今回の映画でオコエやワカンダの評議会もタロカンの存在を知らなかったことが明らかになったので、後者の噂は否定されましたね。

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