『ブラックパンサー』続編、初登場2位 『すずめの戸締まり』の26%という好成績

『ブラックパンサー』続編、好成績で初週2位

 先週末の動員ランキングは、11月11日に公開された新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』が土日2日間の動員は98万3000人、興収は13億8600万円で初登場1位。11月7日に開催されたIMAX先行上映を含むオープニング3日間の動員は133万1081人、興収は18億8421万5620円。この成績は2016年8月公開の『君の名は。』(興収250.3億円)との興収比で147.4%、2019年7月公開の『天気の子』(興収141.9億円)との興収比で114.7%。

 同作については、公開初週の異常な数のスクリーン数&上映回数が話題となり、その必然として上映回によっては空席が目立つ回もあったとの報告もあるが、まずは全国シネコンのそうした臨戦体制に十分以上に応える順調なスタートダッシュをきったと言えるだろう。夏休み公開だった過去2作と比べて一般的には不利とされる閑散期の11月公開となったが、これだけの規模のヒットならば一旦下降線に入ってからの正月興行でのブーストにも期待できるだろう。

 初登場2位はマーベル・シネマティック・ユニバースの最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。土日2日間の動員は20万1000人、興収は3億2700万円。オープニング3日間の動員は30万3356人、興収は4億9011万150円。2018年3月に公開された前作『ブラックパンサー』は初週土日2日間の興収は3億1000万円、初日木曜日からのオープニング4日間の興収は5億300万円なので、今のところはなんとかギリギリで前作を上回っている。

 マーベル・シネマティック・ユニバースの長編映画としては前作にあたる『ソー:ラブ&サンダー』のオープニング3日間の興収は5億8601万1950円だったので、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のオープニング成績は興収比で83.6%。『ソー:ラブ&サンダー』の最終興収13億4000万円からそのまま興収比を当てはめて単純計算すると、最終興収の見込みは約11億円。もしその見込み通りとなると、前作『ブラックパンサー』の最終興収15億6000万円を大きく下回ることになる。4年半前の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公開直前の高揚感の中での興行と、現在の「ディズニープラス以降」の数週間後には配信で見られるという状況の違いを考えても、その可能性は高いと言わざるを得ない。

 いずれにせよ、先週末の『すずめの戸締まり』のスクリーン占拠に対して一部で上がった「『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』にもっとスクリーンを」という声は、(先週の本コラムでも指摘した通り)まったくの見当外れだったことが証明されたことになる。そもそも、「映画の多様性」を奪うという意味では、現在世界各国の映画館で『すずめの戸締まり』状態でスクリーンを占拠している『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』も『すずめの戸締まり』と同じ「奪う」側の作品だ。ちなみに米国でも同日公開された『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、その週末のすべての劇場公開作品の興収の86.6%を占めることとなった(2位の『ブラックアダム』は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の約5%の数字)。1位『すずめの戸締まり』に対して、2位の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』がその26%も興収を稼いでいる日本のほうがよっぽどマシという見方もできるだろう。

日本全国のシネコン、『すずめの戸締まり』にほぼ戸締まりされる

 先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員9万人、興収1億2300万円をあげて1…

■公開情報
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
全国公開中
監督:ライアン・クーグラー
製作:ケヴィン・ファイギ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎Marvel Studios 2022

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