横浜流星が前のめりで進む“役者道” 菅田将暉、吉沢亮ら主役級俳優たちとの違いとは

横浜流星が前のめりで進む“役者道”

 数多くいる若手俳優の中でも、横浜流星は異色の存在になりつつあるーーそんなふうに彼の活躍を受け止めている方は少なくないのではないだろうか。現在は“水墨画”の世界に挑んだ主演映画『線は、僕を描く』が公開中である。ここ最近の彼の活動をたどってみると、若手で作品の看板を背負うことのできる俳優の中でも、ちょっと違うということが分かるのだ。

 公開中の『線は、僕を描く』は、2010年代における青春映画の金字塔となった『ちはやふる』シリーズ(2016年〜2018年)の製作陣によって手がけられたもので、第一報が出た時点でかなりの話題となっていた。“競技かるた”を題材にした『ちはやふる』は心を震わせる展開だけでなく、主演の広瀬すずをはじめとし、新田真剣佑や上白石萌音、松岡茉優、清原果耶など、いまやエンターテインメント界の最前線に立つ若手俳優たちを数多く輩出したのだ。これに続く作品とあれば、『線は、僕を描く』に多くの観客が期待をして当然のこと。この大きな看板を、横浜は背負っているというわけだ。

線は、僕を描く
『線は、僕を描く』©︎砥上裕將/講談社 ©︎2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

 実際に本作でも、主人公・霜介とライバル的な関係を築く清原果耶をはじめ、細田佳央太、河合優実らといった、引く手数多の若手俳優が脇を固めている。そんな作品で横浜が主演を務めているという事実は、彼もまたエンターテインメント界の最前線に立つ若手俳優である証になっているだろう。

 横浜が演じる主人公の霜介は、家族を失ったことで心に深い傷を負い、自ら積極的に人生を切り拓いていこうという人物ではない。控えめで、口数も多くはなく、受動的な人間だ。そんな彼は水墨画と出会ったことで、たちまち目に映る世界が変わっていくーー。本作での横浜の魅力は、この“目”にある。今年の出演作では『流浪の月』を筆頭に、どこか攻撃的なメンタリティを持った人物を多く演じてきた(それぞれの人物の背景には事情があったりはするのだが、ここでは割愛)。そこでより具体的にキャラクターを表現していたのは、言葉(セリフ)だったと思う。一方で霜介は、口数が多くはない。横浜は自身の目の微かな潤みや揺れによって、霜介が目の前にしている水墨画が彼にとってどのようなものであるのかを示しているのだ。

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