奈緒が語る、俳優として覚悟を決めた“転機” 「私自身も知らない私に出会える」

奈緒が語る俳優として覚悟を決めた“転機”

 縁もゆかりもなかった“漁業の世界”に飛び込んだシングルマザーと漁師たちの、奇跡の実話をモデルにした連続ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)が好評だ。なかでも民放GP帯の連続ドラマ初主演を飾った奈緒による、喜怒哀楽のすべてを爆発させる感情豊かな主人公・岩崎和佳(のどか)の魅力あふれるさまが「応援したくなる!」と人気を集めている。そんな奈緒にインタビュー。

 2018年の連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)のヒロイン・永野芽郁の親友役で注目を集め、連続ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)の怪演で存在を知らしめた奈緒。現在公開中の映画『マイ・ブロークン・マリコ』でも難役に挑み、演技力の高さが話題を集めているが、『ファーストペンギン!』では、多くの敵が潜む海に最初に飛び込む1羽目、“ファーストペンギン”のような勇気あふれる女性を演じている。

 地元福岡で10代の頃より芸能活動をしていた奈緒は、20歳のときに本格的に女優を目指し、単身上京した。強い意志に、奈緒自身にも未知の世界へと飛び込む「ファーストペンギン」に似た姿勢を感じるが、奈緒からは「自分の限界を決めてしまう性格だった」と意外な答えが返ってきた。(望月ふみ)

「知らない間にストッパーをかけるようになっていた」

ーーすでに第3話までが放送されましたが、評判は上々ですね。

奈緒:まさかこんなに反響をいただけるとは。予想していなかったのでビックリしましたが、嬉しいです。和佳に共感してくださったり応援してくださったり、「自分もファーストペンギンになりたい」と思ってくださる方もいて、みなさんの心の琴線に触れられるドラマなんだなと実感しています。きっと誰かの背中を押す主人公になってくれるんじゃないかという予感はありましたが、私自身、和佳のモデルになっている坪内知佳さんからも、和佳からもパワーをもらっています。

――和佳は、営業のために、自分の名刺にできることをなんでも書いていました。そこには多少のハッタリも入っていると思うのですが、「できるんだ」と自分自身にポジティブな暗示をかけるようなことは、奈緒さん自身も共感できますか?

奈緒:私はもともと、自分で自分の限界を決めてしまう性格だったんです。

――そうなんですか!? 意外です。

奈緒:実はそうなんです。なので、なるべく自分のことを全部知っていると思い込まないようにと、常に意識しています。もし限界を決めてしまっていたら、この役も引き受けることが怖くて一歩踏み出せなかったと思いますが、私自身も知らない私に出会えるんじゃないかと、思い切って飛び込みました。

――奈緒さんは地元の福岡で芸能活動をされていましたが、20歳のときに本格的に女優を目指すために上京されています。そうした歩みを見ても、限界を決めてしまうイメージはありませんでした。

奈緒:お仕事がなかった頃に、どんどんそうなっていってしまった時期があったんです。何度オーディションを受けてもダメだったりして……。そうしたことが続くと、「自分ってダメなんだ」と思ってしまう。ただ、私はこの仕事を絶対に手放したくありませんでした。だからこそ、自分に落胆したくなくて、自分が傷つかないように、自分の心を守るためにと知らない間に、どんどんストッパーをかけるようになっていたんだと思います。

――傷つかないために限界を決めてしまっていたと。

奈緒:「これは自分に向いてない」とか……。言い訳ですよね。そのせいで、結局がんじがらめになってしまった。それを、周りの方が解いていってくださったんです。現場でみなさんが「奈緒ちゃん、こういう役やったら面白いよ」と言ってくださったり、新しいお仕事をいただくなかで、「これもやっていいんだ」と思えるようになった。そうして自分自身が限界を決めていたことに気づいて、それを破ってどんどんいろんな役に挑戦していくことで、さらにお仕事をいただけるようになりました。私は、まだまだ未熟ですが、早い時期に自分がストッパーをかけていることに気づけてよかったと思っています。

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