ナムグン・ミンの目は何を語る? 『わずか1000ウォンの弁護士』の痛快さ

ナムグン・ミンの目は何を語る?

 ディズニープラスで配信中の韓国ドラマ『わずか1000ウォンの弁護士』が、話題性、視聴率、満足度ともに絶好調だ。安定した高い演技力を誇り韓国では「演技の神」と呼ばれるナムグン・ミン。ウ・ヨンウ&カンテオシンドロームを引き起こした『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』をはじめ、『アゲイン・マイ・ライフ』『法に則って愛せ』『弁論をはじめます』、そして本作『わずか1000ウォンの弁護士』と、いま韓国ドラマ界ではリーガルドラマがアツい。弁護士や検事が活躍し、法の下に悪人を裁いていくストーリー展開はもとより、強力な魅力を放ち私たちを惹きつけてやまない弁護士や検事たちが登場し、スカッとさせる痛快さが人気の要因だろう。さまざまな俳優たちによって演じられてきたキャラクターがドラマの成功を握るカギとなる。

 そんな中、圧倒的な演技力を持ち、主演作品のヒットが安定しているカリスマのナムグン・ミンが、新たな磁力を見せる、新キャラクター弁護士チョン・ジフンを登場させた。わずか1000ウォン(約100円)の弁護料で依頼人を助ける弁護士チョン・ジフン。序盤のジフンは派手な服装とパーマと飄々としたキャラクターとして登場する。チャーミングさを見せながらキレる頭脳で依頼人を助けるさまは、法に従うだけではなく、「本当の意味で弁護人が助かること」を目的としている。時には法だけを使うのではない方法も取り入れて依頼人の問題を解決して見せる手腕が鮮やかで小気味良い。

 物語は、序盤の軽く見やすい展開から、ストーリーが進むにつれ深い森に分け入っていくような展開となる。検事出身だったジフンが弁護士になった経緯が丁寧に描かれ、物語に重厚さをもたらしている。現在のジフンの軽やかさの中に見せるキレや、どこか悟ったようなところの発端が過去の検事時代にあった。一瞬のフラッシュバックや、セリフで表すのではなく、ほぼ過去のストーリー回を見せていることで、物語やキャラクターに納得できる作りになっているのだ。飄々としたジフンが出来上がるまでの過去の彼の選択がもたらした悲劇に涙した人も多いだろう。

 脚本は『被告人』『胸部外科』のチェ・スジンとチェ・チャンファンで、あっと驚くような展開や、緊迫感溢れるシーン作りで定評がある。本作でも序盤からは想像できない展開へと物語が展開しており、配信中の第1話から第8話の中で視聴率の上昇とともに口コミで人気が広がるのが納得の面白さで、ぐいぐい惹きこまれている。

 ジフンとともに弁護士事務所でチームを組むのが、前作『黒い太陽~コードネーム:アムネシア~』で共演したペク・マリ役のキム・ジウン、事務長サ・ムジャン役のパク・ジヌだ。ナムグン・ミンはふたりについて「チョン・ジフン弁護士、マリ、事務長のケミストリーがドラマの肝といっても過言ではないぐらい重要度が高い」とインタビューで答えている(※)。第1話でジフンに裁判で負けた検事のマリは、大手弁護士事務所を経営する祖父ペク・ヒョンム(イ・ドクファ)からジフンの下で学ぶように言われともに働くことに。事務長ムジャンは、ジフンの初の依頼人で今はジフンを支えている。ジフンを中心とした3人のケミが序盤のでこぼこした感じから、回を追うごとにまとまっていくさまがとてもいい。

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