KADOKAWA、東映に松竹やワーナーも ネクストJホラーは新しいムーブメントとなるか?

ネクストJホラーは新しいムーブメントに?

 先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』(東映)が土日2日間で動員27万3000人、興収3億4200万円をあげて9週連続で1位に。10月2日(日)までの58日間の累計動員は1169万人、累計興収は162億4700万円。2020年から2021年にかけて12週連続で1位を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』以来となる、連続1位10週超えも現実味を帯びてきた。

 新作で最も上位につけたのは初登場4位の『“それ”がいる森』。監督は『リング』1作目(1998年)以降、というか厳密には『女優霊』(1996年)以降、他のジャンルの作品も数あれど四半世紀以上にわたって継続的にホラー作品を手がけてきた中田秀夫。主演は嵐の相葉雅紀。配給は松竹、監督は中田秀夫、脚本はブラジリィー・アン・山田、主演はジャニーズ所属タレントというこの座組は、亀梨和也主演の『事故物件 恐い間取り』(2020年)以来2作目となる。オープニング3日間の動員が12万9000人、興収が1億6500万円という成績は、最終興収23.4億円のヒットとなった『事故物件 恐い間取り』のオープニング成績の35%とやや頼りない出足だが、ロングラン興行となることも多いホラー作品だけに今後の伸びに期待がかかる。

 もっとも、Jホラーの礎を築いてきた中田秀夫監督は、近年のこのジャンルの作品を撮る際には新奇さを求める傾向があり、『“それ”がいる森』もホラー映画としては一筋縄ではいかない他ジャンルとのクロスオーバーを図った作品となっている。それが吉と出てるか凶と出てるかは是非劇場で確かめてもらいたいが、新しいホラーの作り手も台頭し始めている中、作り手として四半世紀以上も同じ手法を繰り返すわけにはいかないというのも理解はできる。

 自分が注目をしたいのは、ここ10数年、結果的にホラー映画のジャンルを守り抜いてきたKADOKAWA、東映配給の清水崇監督による「恐怖の村」シリーズに続いて、こうして松竹も継続的にホラー作品を送り出すようになったことで、にわかに日本のメジャー配給作品においてネクストJホラーのムーブメントが生まれつつあることだ。10月14日にはワーナーもローカルプロダクション作品の『カラダ探し』(羽住英一郎監督、橋本環奈主演)を公開。そもそも90年代Jホラーブームの決定打となった『リング』は東宝配給作品。これで最大手の東宝もこのジャンルに再参入するようなことがあれば面白いのだが。

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