『仮面ライダー』でわかる子供たちの“遊び”の変遷 カードダスからオンラインゲームへ

 令和に入ってからの『仮面ライダー』シリーズ第4作目『仮面ライダーギーツ』が、現在テレビ朝日系で放送中だ。複数の仮面ライダーが入り乱れる本作が扱う題材は生き残りゲームで、キャッチコピーも「このゲーム― 最後に勝つのは俺だ」になっている。ペンギン、猫、パンダ、ヒツジ、キツネといった動物を模ったマスクをつけた仮面ライダーたちが参加するのは、街の平和を守るためのデザイアグランプリと呼ばれるゲームで、勝者には願い事が叶う権利が与えられる。

 生き残りを賭けたゲームという点では現在、小学生の子どもたちの間でも『APEXL egends(エーペックスレジェンズ)』や『フォートナイト』が大人気という。どちらも3人ほどのチームを組んで武器などのアイテムを集め、他のプレイヤーたちと対戦するバトルロイヤルものだ(フォートナイトはひとり、もしくはペア程度の人数でも遊べるモードがある)。『仮面ライダーギーツ』が、こうしたバトルロイヤルゲームの流行を意識したかは分からないものの、これらのゲームにハマっている子どもたちには視聴意欲をそそられる番組なので、良い着眼点といえるだろう。ここで過去の仮面ライダーシリーズと、子どもの遊びの結びつきを振り返ってみよう。

 生き残りを賭けたライダーバトルという『ギーツ』の概要を聞いて、昔から継続してシリーズを観ているファンがすぐ連想したのは、平成シリーズ第3作目『仮面ライダー龍騎』(2002年)だろう。ただし『ギーツ』が小型デバイスで参加プレイヤーの名前やリタイアの有無を確認しながら進める、文字通りのゲームなのに対して、『龍騎』は命のやり取りをして勝ち残る、いわば自分が最後のひとりになるべく他のライダーを倒して行く生き残りゲームという点で性質は異なる。

 作中で13人の仮面ライダーたちが専用武器の技を発動させるときに用いていたのがアドベントカードと呼ばれるもの。これと同じデザインのデータカードダスを、バンダイのカード事業部が自販機を中心に発売したので、子どもたちの間でカード集めが流行した。子どものみならず大人のファンも巻き込んだのは言うまでもないが、カードが本編で重要な役割を果たす平成シリーズ第5作『仮面ライダー剣(ブレイド)』(2004年)も同様だ。アンデッドと呼ばれる怪人を封印するために使うラウズカードも、データカードダスで発売したことからコレクション性を高めた。『龍騎』も『剣(ブレイド)』も、カードを玩具に読み込ませると、異なる音声が出るのがセールスポイントだったが、もちろん本来のカードゲームとしての遊び方もあったので、TCG遊びに興じた子どもたちもいたことだろう。

 子どもたちの間で数多くアイテムをコレクションする遊びは、平成シリーズ第12作『仮面ライダーオーズ』(2010年)のメダル集めでも再燃焼した。オーズが使う本編のキーアイテム、オーメダルの玩具の総生産数は3300万枚と、とんでもない数だったのだ。

 カードダスは印刷コストが安く済むのと、変身アイテムにスリットを入れるだけで容易に玩具に取り入れられる利便性から、カードをメインに使う仮面ライダーが三度登場した。平成シリーズ第10作『仮面ライダーディケイド』(2009年)だ。ちょうど前年12月にデータカードダスを使うアーケードゲーム「仮面ライダーバトル ガンバライド」が稼働開始したばかりで、ディケイド本編も平成ライダーのカードを集める物語だったことからトレーディングカード集めの相乗効果を生み、デパートや量販店に設置されたガンバライドで遊ぶ子どもが多く見られた。ガンバライドは2013年に展開が終了したが、同年のうちに新筐体で「仮面ライダーバトル ガンバライジング」にリニューアルして現在まで続いている。

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