朝ドラヒロイン、次回作は正反対の役が多い? 黒島結菜の『クロサギ』での飛躍に期待

 黒島結菜が、10月よりスタートの『クロサギ』(TBS系)にヒロイン役で出演する。現在放送中の朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)は9月30日で本編の最終回を迎えるため(10月1日は1週間の振り返り放送)、ほぼインターバルを空けずの連ドラ出演となる。『ちむどんどん』は8月31日にクランクアップしたことが発表されており、すでに『クロサギ』の撮影はスタートしていると考えていいだろう。

金曜ドラマ『クロサギ』吉川氷柱(黒島結菜)

 朝ドラヒロインがこうして立て続けに連ドラへ起用されるのは、近年では異例のことだ。朝ドラ出演後は短くても1クール、長くて1年を擁することも多々ある。それは俳優として、令和の現代においても国民的と言える朝ドラという作品カテゴリに主役で出演した後の重要なステップであるはずだからだ。

 例えば、2017年放送の『ひよっこ』で、みね子を演じた有村架純は、次の連ドラ出演となった『中学聖日記』(TBS系)まで約1年が空いている。今では有村の代表作の一つに数えられる『中学聖日記』で彼女が演じたのは、教え子の晶(当時・岡田健史、現・水上恒司)に惹かれていく教師の聖。『ひよっこ』終了後に『ナラタージュ』が公開されているため、映画作品を含めれば段階的とも言えるが、禁断の恋に走っていく聖の姿は、真っ直ぐな思いを持ちながらもどこかほんわかとしたみね子のイメージとは相反するものがあった。

 2018年オンエアの『半分、青い。』でヒロイン役を務めた永野芽郁は、近年の考察ドラマの始まりとも言える『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)ですぐさまヒロイン役を演じている。その準備期間は約3カ月、つまりは1クールだ。左耳が聴こえないハンデを抱えながらも発想の転換、アイデア一つで目の前の景色をポジティブに変えていく鈴愛に対して、『3年A組』の茅野さくらはどこか影のあるおどおどした地味な役柄。ただ、感情の起伏の激しい性格からやってくる捲し立てたセリフ口調は、鈴愛からの地続きとも言える役柄だった。

 永野が演じるヒロイン像は『親バカ青春白書』(日本テレビ系)や『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)、さらに先日最終回を迎えた『ユニコーンに乗って』(TBS系)と明るく、前向きといった彼女のパブリックイメージそのままのキャラクターが多いが、映画作品ではそれと相対するギャップの大きい役を積み重ねている。その集大成とも言えるのが9月30日公開の映画『マイ・ブロークン・マリコ』。筆者は先に試写でこの作品を観ているが、右手にタバコ、左手に画面バキバキのスマホを持ち、豪快にラーメンをすすっては、喪失したダチへの心を埋めるため、奔走し、泣き叫ぶ。そのダチを演じるのが『半分、青い。』で親友役の奈緒(の演技も危うく、引き込まれる)ということも含めて、朝ドラファンにとっては運命的な交錯が嬉しい、この4年間でさらに演技の幅が拡張した2人を実感できる作品だろう。

永野芽郁、奈緒の涙を見て「涙腺崩壊した」 『マイ・ブロークン・マリコ』を語る特別映像

9月30日に公開される映画『マイ・ブロークン・マリコ』より、主演の永野芽郁が作品への思いを語る特別映像が公開された。  本作は…

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