『初恋の悪魔』で急浮上した“父と息子” 鹿浜と摘木が食べた2つのケーキが示すもの

『初恋の悪魔』で急浮上した“父と息子”

 『初恋の悪魔』(日本テレビ系)第8話では、これまで謎とされてきた事故死した刑事・馬淵朝陽(毎熊克哉)の過去が描かれた。

 第三の刺殺事件の容疑者として浮上した桐生菜々美(あかせあかり)のカラオケボックスでのアリバイを証明した鹿浜鈴之介(林遣都)たちだったが、家から凶器が出たため桐生は逮捕されてしまう。

 冤罪を防ぐため、鹿浜、摘木星砂(松岡茉優)、森園真澄(安田顕)は事件の容疑者を署長の雪松鳴人(伊藤英明)に絞り、第1、第2、第3の刺殺事件時のアリバイを調べる。一方、馬淵悠日(仲野太賀)と小鳥琉夏(柄本佑)は、馬淵の両親と話したことをきっかけに朝陽のスマホのパスワードを知ることになる。

 馬淵と小鳥は、摘木と鹿浜の前で、朝陽のスマホのロックを解除する。メールはスパムだらけで仕事上のやりとりはなく、写真は空と蕎麦を撮ったものばかり。メモや録音のようなものは見つからず、SNSをやっている気配もなかった。唯一の手がかりは発信記録のみで、悠日たちは朝陽が連絡した相手と順番に会っていく。

 通話の相手は、朝陽が逮捕したが、現在は出所して理髪店を営む男性や、誤認逮捕されそうになったが、朝陽が信じてくれたことで救われた蕎麦屋の女性だった。彼らの証言から伺える朝陽の姿は、真面目で優しい刑事だが、どこか孤独で生きづらさを抱えていたように見える。それはスマホのパスコードが「7580」(七転び八起き)だったことからも伺える。

 その後、唯一連絡のつかなかった「みぞれさん」から、朝陽のスマホに連絡が入る。「みぞれさん」とは朝陽が県警の捜査一課にいた時の刑事・本城(神尾佑)のことで、現在は入院中で余命わずかだった。

 第8話では、今まで謎だった朝陽の人物像が、他者の証言によって、じわじわと浮かび上がってくる。

 弟の悠日から見ると何でもできる眩しい存在だった朝陽は、弟に対してコンプレックスを抱えていた。人見知りで目つきが悪く、人と仲良くするのが苦手だった自分と違い、弟は「愛嬌があって誰とでもすぐに打ち解けて、みんなから愛されてるんですよ」「できれば、弟のようになりたかった」と朝陽は語り、両親は「僕より僕が持って帰る賞状の方が好きなんです」と漏らしていた。

 朝陽のスマホからは、刑事としての彼の姿しか見えてこない。その意味で自分という意識が希薄な男だったのだろう。そんな彼にとって雪松は特別な存在だった。「自分にとってはおかしな言い方ですが、雪松さんは初恋の人のようなものなんです。親に言われるまま警察学校に入って、目的もなく毎日を過ごしていた自分に刑事の生き方を教えてくれた人です」と朝陽は語る。

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