『ユニコーンに乗って』常に“変化”を体現する西島秀俊 永野芽郁と杉野遥亮の恋の行方は?

『ユニコーンに乗って』西島秀俊は変化を体現

 佐奈(永野芽郁)率いる「ドリームポニー」(以後、「ドリポニ」)が新たなスタートを切った『ユニコーンに乗って』(TBS系)第9話。

 最初は抵抗感をあらわにしていた羽田(広末涼子)からM&Aの話を受け、なんと「ドリポニ」×「サイバーモバイル」が手を組んだ。佐奈は以前、羽田から問われていた「ユニコーン企業のその先の未来」を「誰もが平等に学べる場所を作ること」と自信を持って定義づけられたようだ。

 中途採用で入社した小鳥(西島秀俊)がもたらした周囲への変化や刺激はこの時を迎えるための必然だったのだろう。新しい風を取り入れることでしか開けない扉がある。見えてこない活路が確かにある。そして“分かり合えない部分があってもお互い良い部分をシェアする”ことで素敵な変化がもたらされるのは、何も人と人に限った話ではない。企業同士もそうだ。歴史や実績、スケールメリットのある大手企業と、業界の常識やしがらみに囚われない自由な発想力やそれを形にするスピード感、機動力のあるスタートアップ企業。その掛け算で一気に目指すゴールへの距離は短縮化され、スピードアップし、道筋も幾重にも広がり、双方にとってメリットがある。功(杉野遥亮)の父親が息子からのプレゼンや突然の「ドリポニ」への会社訪問を経て、スタートアップ企業への先入観を捨て新しい価値観に触れ、“確実性”を上回る可能性に目を向けられるようになったように。そして新サービスである情報セキュリティーシステムの導入に踏み切れたように。

 本作が憎いのは、小鳥が登場し佐奈にとって良き相談相手になっていく過程含め、これまで佐奈と功、小鳥のトライアングルがフィーチャーされてきたのが、今話での功の思い切った決断へと見事に回収されていくところだろう。鮮やかでこじつけではない自然な繋がりで、視聴者を置いてけぼりにしない展開だ。佐奈と出会うまでは親が決めたレールの上を進んできた功が、貧乏少女との出会いで佐奈の夢を叶えることがいつしか自分の夢になり、これまで避けてきた父親と対峙する中で、会社経営の苦労や今まで知らなかった苦悩がわかるようになり、そして自分ができることはないかと初めて“自分だけの夢”を見つける。それこそ、大企業気質と「ドリポニ」創業メンバーとしてここまで駆け抜けてきた今の功ならきっと、父親の会社にジョインしてもたくさんの変化のきっかけをもたらすことができるだろう。

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