オダギリジョーに聞く、役の広げ方 「作品にとってどうあるべきか」

オダギリジョーが語る、役の広げ方

 23歳のときに撮った自主制作映画『Noise ノイズ』でデビューした松本優作監督の長編商業デビュー作『ぜんぶ、ボクのせい』が8月11日に公開となる。主演に『とんび』で映画初出演した期待の新星・白鳥晴都を迎え、『ある船頭の話』で新人女優賞を受賞した川島鈴遥、『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)などの作品で出演のみならず、監督としても活躍するオダギリジョーのほか、松本まりかに若葉竜也、仲野太賀と実力派俳優が脇を固める。

 主人公の優太(白鳥晴都)は母親と一緒に暮らせず、施設に引き取られて生活している。しかし、学校でも施設でもいじめられ、居場所はない。ついに彼は施設を逃げ出して母親に会いに行くも、彼女は男と自堕落な暮らしを送っていた。絶望する優太は、そんな折にホームレスの男・坂本(オダギリジョー)と、彼と連む学生の詩織(川島鈴遥)と出会う。

 今回、主人公の唯一の居場所になったホームレスの坂本役を演じたオダギリジョーに、本作を振り返った印象を聞いた。

作品との特別な出会い

――まず、出演オファーを受けた際に感じた本作の印象から教えてください。

オダギリジョー:正直、少し重い作品だな……とは思いましたね。後から気づいたことですが、昔から脚本を書くことが好きで、自分でネタやアイデアをまとめているノートがあるんです。その中に(本作と)設定がすごく似た作品があったんですよ。それはもう20年前くらいに思いついたもので、そのまま書くに至らず終わっていましたが、なんかそういう意味でも特別な出会いのような気もしました。

――面白い巡り合わせですね。演じた坂本役への印象はいかがでしたか?

オダギリジョー:監督と話している中で「もうちょっとこうしていった方が面白いんじゃないか」と言い合いながら、変化していった役でした。ただ、今の社会が持つ不安定さだったり、理不尽さだったり、そういうものを飛び越える存在でありたいと思っていました。優太にとっても、ある種の憧れというか、今まで会ったことのない価値観を持つ、自由な人間というイメージで役を広げていきました。

――優太役の白鳥晴都さんも、初主演にしてかなり地に足のついた演技が印象的でしたが、オダギリさんから見た印象はどうでしたか?

オダギリジョー:(現在14歳になったことを受けて)しっかりしていますよね。ずっと泊まり込みで1カ月くらい撮影していたので、その間ご両親もいらっしゃらないし、一人でホテル暮らしみたいな感じだったんです……中学生でそういう環境に自分を置くなんて、僕は経験したことがなかったですし、想像しただけでもすごいなあ、と思いますね。まあ、覚悟を持って臨んだということなのでしょう。

――詩織役の川島鈴遥さんとは、ご自身が監督された『ある船頭の話』以来の再会かと思いますが、以前に比べて印象は変わりましたか?

オダギリジョー:今までは監督と俳優という関係でしたが、俳優同士での共演というのは今回が初めてでした。率直な感想を言うと、結構図太いなあ、と思いましたね(笑)。意外と周りに流されないというか。ものすごく繊細な部分を持った俳優だと思っていましたが、繊細だけでは精神的にもたないですからね。繊細さと図太さを持った、良いバランスの俳優だと思いました。

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