『オールドルーキー』綾野剛演じる新町が現役復帰に挑む　アスリートを支える家族の視点も

　終わりが見える時間をどう生きるか。引退までの一瞬一瞬を完全燃焼できたかは、その後の人生に大きく影響する。『オールドルーキー』（TBS系）第4話では、現役復帰を目指す新町（綾野剛）と今シーズン限りの引退が決まったプロ野球選手・北芝謙二郎（板垣瑞生）の姿を通して、第二の人生の門出を祝福した。

　プロスポーツで引退は一度きりだ。大多数の選手はその終着点を自分で決めることができず、全てを賭けて競技に打ち込んできたアスリートにとって、引退は第一の人生のゴールとなる。所属チームの解散によってプロとしての道を断たれた新町は、スポーツマネージメント会社のビクトリーに拾われ、裏方として歩み出したが、ひそかに現役への未練があった。そんな新町の思いに気づいた妻の果奈子（榮倉奈々）はカムバックを後押しする。そして、新町はJリーグチームの加入テストを受けることになった。

　出場機会のない北芝が練習に打ち込むモチベーションは「若い選手のため」。引退が決まった選手の役割は、チームの士気を高め、若手の奮起を促す反面教師だった。脚光を浴びるスター選手の陰では、北芝のように表舞台に立つことなく現役を終える選手が数多くいる。北芝の現状を知った新町は、やむにやまれず自らサポートを買って出る。現役復帰への希望を捨てきれない新町の心境を、引退間近の選手を通じて浮き彫りにする描写は説得力があった。

　第4話で光が当たったのは家族の存在だった。想像を絶する競争社会で生きる選手を支え、第二の人生をともに歩む家族は文字通りの運命共同体だ。いちばん近くから選手を見てきた家族は、ある意味、本人以上にアスリートの思いを理解している。不完全燃焼とこぼす新町に、果奈子は「たくさんのサッカーやってる人たちの中で、みんなが到底たどり着けないところまで上り詰めた」と諭す。果奈子の言葉は、最高のサポーターでありながら誰よりも夫を客観視し、ともに戦ってきた人間だからこそ発することができるものだった。