『明日』イム代理が母親に伝えたかった言葉 リョンとジュンギルの関係は前々世にあり?

『明日』イム代理が母親に伝えたかった言葉

 Netflixで配信中の『明日』では、自殺に追い込まれる者たちの話を軸に物語が展開されてきた。残り4話となり、いよいよ“死神”にもスポットライトが当てられる。前世が明かされたのは、危機管理チームのイム・リュング代理(ユン・ジオン)。第10話でこの世の性犯罪者を殴って懲戒処分になったイム代理は、営業チームに移動となり前世で罪を犯したという噂まで社内に広がってしまう。

 あの世の企業「走馬灯」で働く死神たちは、なぜ生まれ変わらず死神になる選択をしたのだろうか。いつかは終わる生とは違い、生者でも死者でもない状態で存在し続けなければならないのに。最後の生の記憶がある死神は、それが残酷なものでも何百年、何千年と抱えていくのは生き地獄同然だ。それに生まれ変わらなければ、大切な人と来世で巡り合えず、縁が結ばれることは二度とないという。しかしすでに母親との縁が切れてしまったイム代理にとって、母親ともう一度出会う方法が死神だった。死神になったのも、定時退勤するのも時折鼻をほじるのにも全てに理由があったのだ。

 自ら命を経った母親を自分が殺したのだと、毎日自責の念にかられながら200年以上の時を過ごしてきたイム代理。その苦しみは計り知れないが、転生した母親を捜し出すことだけを支えにここまでやってきたのだろう。ところが、ようやく見つけた母親の転生イム・ユファは、死産をきっかけに自殺志願者として名前が上がってしまう。ユファもまた自分のせいで子を亡くしてしまったと責め続けていた。

 ユファを助けるためにイム代理を呼んだのは、危機管理チームのチェ・ジュヌン(ロウン)。駆けつけたイム代理はユファにゆっくりと一言ずつ言葉をかけていく。「子どもはママの温かい言葉を全部記憶している」「罪悪感から抜け出してください」「子どもを守るために全力を尽くしたはず」「自分を責めないで」「生きてください」と。まるで自分の母親にずっと言いたかった気持ちを全て伝えるかのように。

 自分の幼さゆえに相手を傷つけて後悔した経験は誰にでもあるだろう。それが母親であればなおさらだ。イム代理はユファに束の間だけ前世の記憶を戻し、最初で最後となる母親と対面する。「心ないことを言ってごめん」「ありがとう母さん」。この言葉を頭の中で何度繰り返したか想像がつくし、たった一言、二言が生前では口にするのが難しいのも私たちは知っている。涙なしには見られない共感を呼ぶ演技を披露したのは、イム代理に扮するユン・ジオン。『恋愛体質〜30になれば大丈夫』(2019年)で主人公3人のうちの一人の弟役を務めていたのが思い出される。姉思いの優しい弟で、姉と姉の友人2人との同居生活に完全に溶け込みワイワイと過ごしていた可愛らしい役柄だったが、本作では新たな一面を見せ、今後の活躍に注目したい俳優となった。

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