初のライブ映画が大ヒット 映画業界に多大な貢献をしてきた嵐

映画業界に多大な貢献をしてきた嵐

 先週末の動員ランキングは『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』が土日2日間で動員14万9512人、興収4億4181万円をあげて初登場1位となった。同作は11月3日から全国のドルビーシネマのスクリーンで先行公開されていて、11月26日(金)に全国公開となった。嵐の櫻井翔と監督の堤幸彦監督が北海道旭川市のシネプレックス旭川と沖縄県那覇市のシネマQで舞台挨拶を行い、全国198館でライブビューイング中継があった初日は平日にもかかわらず6億2207万円、ドルビーシネマでの先行上映分も合わせて11月28日(日)までに動員54万4126人、興収17億8796万円という好成績を記録。目ぼしいヒット作がなく一足先に「真冬」に突入していた全国の映画館に、局所的に熱気が戻ってきたかたちだ。

 嵐の映画興行における貢献は表面上の数字だけでは語れない。『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』はドルビーシネマでの先行上映分だけで7億2408万円をあげているが、実はドルビーシネマのスクリーンは日本でたった7箇所(MOVIXさいたま、丸の内ピカデリー、T・ジョイ横浜、 名古屋ミッドランドスクエアシネマ、MOVIX京都、梅田ブルク7、T・ジョイ博多)しかなく、つまり1スクリーン当たり平均1億円以上を稼ぎ出しているのだ。IMAX社のIMAXスクリーンと並んで、ドルビーシネマはドルビーラボラトリーズ社が推し進めている劇場での映画鑑賞の新しい規格。一度体験すれば通常のスクリーンとの違いは一目瞭然で(音響の良さが取り上げられることが多いがドルビービジョンによる映像の美しさも特筆に値する)、まずは一人でも多くの観客に体験を促すことが重要。そういう意味でも、今回ドルビーシネマでの先行上映に20万人以上もの観客(遠くの劇場まで足を伸ばした人も多いはず)が押し寄せたことには意味がある。

 今年に入ってから、特に外国映画では劇場公開から配信までの期間の短さが話題になることが多い。北米ではディズニーやパラマウント映画などが、公式に劇場公開から自社のサービスでの配信までの期間を45日間と定めていて、その流れは日本にも確実に押し寄せている。現状では日本の多くのメジャー作品は様々な業界の慣習に守られながら何ヶ月も劇場で上映されて、その後のウィンドウ(配信や放送やフィジカルリリースまでの期間)も維持されているが、海外の状況を見ればわかるようにそれも変わる時には一気に変わるだろう。そうである以上、ドルビーシネマやIMAXのようないわゆる「プレミアム」なスクリーンの整備を進めて、劇場での映画鑑賞の価値を底上げしておくことが急務だと自分は考えている。『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』のドルビーシネマ上映における大成功は、きっとその動きを後押しすることになるだろう。

 映画業界はこれまでも嵐に「借り」がある。各メンバーの主演映画や出演映画の多くがヒットを記録してきたのは言うまでもないが、その度にメンバーを表紙特集などで取り上げてきた映画周辺の雑誌メディアも、それによって通常よりも多くの部数を刷って厳しい時代をサバイブしてきた。嵐が活動休止となった今、正直なところ、それに代わるような存在は日本の芸能界にはいない。雑誌メディアそのものの窮状をふまえれば「延命装置が外された」だけなのかもしれないが、かつてその現場で度々仕事をしてきた自分の立場からは、今回の『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』の大ヒットは、映画業界への嵐からの最後の置き土産のようにも思えるのだ。

■公開情報
『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』
全国公開中
出演:嵐
監督:堤幸彦
配給:松竹
(c)2021 J Storm Inc.



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