『最愛』高橋文哉、梨央への「姉ちゃん」のセリフまでの心境 「優の過去を一番大切に」

高橋文哉が優を演じる上で大切にすること

「ありがとな、姉ちゃん」

 TBSの金曜ドラマ『最愛』の第1話から登場するも、第4話でようやく梨央(吉高由里子)の前に姿を現した弟の優(高橋文哉)。優は梨央と白川でほんのわずかの時間を過ごし、連れて行かれてしまった。大輝(松下洸平)を振り払い、梨央は優を追いかける。

 今回、朝宮優役を演じる高橋文哉にインタビュー。優であることが明かされるまでの心境や、『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)でのデビューから2年、芝居に対する思いの変化について語ってくれた。(編集部)

「どの場面でも過去を一番大切にしながら」

――優を演じるにあたり、事前に準備されたことはありましたか?

高橋文哉(以下、高橋):最初は情報屋の生田誠としていなきゃいけなかったので、できるだけフラットに、少しミステリアスな雰囲気を出したいと思っていました。優であることが明かされてからは、自分のしたことに責任を感じている部分が大きくて。変化していく役どころなので、事前にした大きな役作りはなく、現場でお話ししながら役をじっくり理解していっている感じですね。

――優という人物をどのように捉えていますか?

高橋:優の「最愛」は姉だと思います。本当に姉ちゃん(梨央/吉高由里子)が大好きで、大ちゃん(大輝/松下洸平)だったり、加瀬さん(井浦新)だったり、姉ちゃんの周りにいる人のこともすごく大切にしている。姉ちゃんのためなら自分は辛くても生きていけるし、姉ちゃんに安否を知らせることを生きがいにできるくらい大切に思っているので、そこを自分の中で噛み締めて、「姉ちゃんといる時にはこういう気持ちだな」「加瀬さんといる時にはこういう気持ちだな」ということを一個一個大切にしながら演じています。すごく人想いで、その中でも姉ちゃん想い。自分の気持ちや、やったことを素直に受け入れられる男の子だと思います。

――優であることが明かされるまで、どのような心境でしたか?

高橋:心境としては、ずっと優を演じている気持ちではありました。その中で、後藤さん(及川光博)と絡む時や姉ちゃんの映像を観ていたりするところに“優っぽさ”というか、ちょっとした優の様相を入れるような感じで。情報屋として考えていたのは“後藤さんに従い続けること”くらいで、あとは本当に優として「バレないように」と。

――ちなみに、“優っぽさ”とは?

高橋:ハッキングして姉ちゃんの映像を観ているのも、姉ちゃんを守るためにやっていることなんですよね。たとえば嫌いな食べ物の話をしているところをたまたま見た時に、ちょっと表情が緩むというか。それが悪巧みのほほえみに見えてもいいし、どっちにも取れるように「素直にやっていいよ」と塚原(あゆ子)監督がおっしゃってくれたので、それに沿ってお芝居しました。

――第4話で、ようやく「姉ちゃん」と呼ぶことができましたね。

高橋:優としても、役者・高橋文哉としても、すごくドキドキしました。物語の一本軸になるような、とても大切な事実をセリフとして自分が言うことに対する緊張と、優として覚悟を持って姉ちゃんと話すっていう緊張が混在していて。もちろん姉ちゃんと会えた嬉しさもあるんですけど、罪悪感だったり、いろんな感情がグワーッと込み上げてくる瞬間でしたね。

――優を演じる上で、難しさや面白さはどこにありますか?

高橋:うーん……やっぱり、優の過去ですかね。優の過去はすごく複雑で、普通の人は感じないような責任感、罪悪感、いろんな感情に苛まれながら生きている24歳なんです。そこを理解した上で、感情を内から外に出すようなシーンは難しいなと思いますし、「自分の思い通りに優を作り上げられないな」という時もあります。でも、「少しでも優に寄り添えたら」と感じるような時には楽しいなとも思いますし、どの場面でも過去を一番大切にしながら演じています。

――15年前のシーンでは、唯一、高橋さんだけが別キャストなんですよね。

高橋:台本は読んでいましたけど、(第1話が放送された時には)自分はまだ半日くらいしか撮影していなかったので、ほとんど視聴者としてまっさらな気持ちで観ることができて。本当に15年経ったと錯覚させられるような、作品の中に吸い込まれていく感じがしましたし、15年前を観た後に現代を観た時には、インパクトがすごくありました。

――どんなインパクトでしょうか?

高橋:吉高さんが出てこられた時の、「梨央が成長したぜ!」っていう(笑)。もちろん松下さん演じる大輝にも感じましたし、それぞれのキャラクターの15年間が、描かれていなくとも理解できるような気がしたんです。僕自身、第1話の優くんだったり、大ちゃんだったり、姉ちゃんだったりを見て、優の過去を作り上げました。

――子供時代の優は、柊木陽太くんが演じています。

高橋:めちゃめちゃかわいかったですね、本当に。そこから僕も、ヒントをいただきました。15年前の“優らしさ”を残せるところはないんですけど、姉ちゃんや加瀬さんに対する思いは第1話、第2話からすごく伝わってきたので、その部分は大人になっても変わらずに。過去の記憶がフラッシュバックすることもあるので、そういったシーンは何回も観ました。

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