『エターナルズ』好発進で初登場1位、しかしマーベル・カレンダーに異変あり

マーベル・カレンダーに異変あり

 先週末の動員ランキングは、11月5日に公開された『エターナルズ』が土日2日間で動員18万4000人、興収2億9400万円をあげて初登場1位。初日から3日間の累計では動員26万5000人、興収4億1600万円。この数字は、今年9月3日に公開されたMCU映画の前作にあたる、同じく新しいシリーズの始まりとなる『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のオープニング成績の約138%の成績。当時は新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にはあったもののまだたくさん報告されていて(ちなみに9月3日の全国感染者数は1万6738人、11月5日の全国感染者数は232人)、その影響も考慮しなくてはいけないが、ディズニー作品主要シネコン締め出し期&パンデミック期を経て、ようやくMCU作品がそのポテンシャルを発揮したかたちだ。

 ところで、今年7月公開の『ブラック・ウィドウ』で幕を開けたMCUフェーズ4の映画作品だが、これまでMCU作品の世界興行で大きな割合を占めてきた中国では、今回の『エターナルズ』で3作連続で公開の目処が立たないという状況になっている。それぞれの作品の事情は異なり、また公開が許可されない正式な理由も公式発表はされていないが、このことは作品の中身も含めて今後のMCUの世界戦略に大きな影響を及ぼすことになるだろう。一方、ソニーの配給で12月17日に北米で公開されるMCUフェーズ4の4作目となる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、特に問題なく中国でも公開されるという(参考:https://collider.com/spider-man-no-way-home-mcu-phase-4-china-premiere/)。

 中国ではまだディズニープラスのサービスも始まっていないので、中国の観客は(少なくとも合法的な手段では)『ワンダヴィジョン』で張られた伏線も、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で描かれた楯の継承も、『ロキ』で撒かれた火種も、『ブラック・ウィドウ』で登場した新たな重要キャラクターも、『シャン・チー』の参入も、『エターナルズ』の面々も知らないまま、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観ることになるわけだ。

 いや、中国の観客の心配をしている場合ではない。前述した通り『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は12月17日に北米公開されるわけだが、先日、日本での公開日がその3週間後の1月7日となることが発表された。現時点で公開日が発表されている国では、日本はフィリピン(1月8日公開)と並んでたった二つしかない公開日が年越しになる国というわけだ(というか、ほぼすべての国では12月16日か17日に公開される)。他のMCU作品と比べてもとりわけ大きなサプライズ&複数のサプライズが予想されている同作、ファナティックな日本のマーベル・ファンの中には年末年始3週間ネット断ちする人が出てきてもおかしくない状況だ。

 その理由は推測するしかないが、MCU作品ではないものの同じマーベル作品を原作とするマーベル映画であるソニー配給の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が、北米公開(10月1日)から2ヶ月以上も遅れて、12月3日に日本公開されることによる玉突き事故的な悪影響と考えるのが妥当だろう。日本のソニー・ピクチャーズは、サム・ライミ監督による『スパイダーマン3』(2007年)以降、多くの『スパイダーマン』関連作品の日本先行公開を実現してきた。それがここにきて、まさかの時代が逆行するような事態になってしまうとは。

■公開情報
『エターナルズ』
全国公開中
監督:クロエ・ジャオ
出演:ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、マ・ドンソク、キット・ハリントン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2021

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