IMAXはIMAX作品だけのものじゃない 『劇場版 SAO』にみる映画興行の未来

『劇場版 SAO』にみる映画興行の未来

 先週末の動員ランキングは『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』が土日2日間で動員22万5000人、興収3億4900万円をあげて初登場1位となった。注目すべきは、その2日間で興収約3億5000万円という数字を全国196館(233スクリーン)という中規模での公開で成し遂げていることだ。

 3週前の当コラム(大作の公開が重なってIMAXスクリーンは大渋滞 『デューン』体験はお早めに!)では、いずれも(部分的に)IMAXで撮影されている『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『DUNE/デューン 砂の惑星』、『エターナルズ』の公開が重なることから、IMAXスクリーンのスケジュールが混むことへの危惧について書いたが、『DUNE/デューン 砂の惑星』のIMAX上映に通いながら(そう、毎週通ってるんですよ)、劇場で毎回かかる予告編によってもう1作の思わぬダークホースの存在を知ることとなった。ほかでもない、それが『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』で、本作は日本映画初のIMAX 12chサウンド上映や通常のIMAX版上映といったIMAXスクリーンでの上映、さらにはドルビーアトモス、個々のシアターに合わせて音響を調整したフルダイブサウンド上映と、様々な音響設備での上映が実施されている。スクリーンアベレージ(1スクリーン当たりの興収)の高さの背景には、そのような事情があるわけだ。

 『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』を配給するアニプレックスは、これまでも独立系ならではのフットワークの軽さで、作品の中身(製作)だけでなく届け方(配給)においても様々な仕掛けをおこなってきた。今作のように上映形態によって観客の単価を上げる試みは、今後の映画興行においてますます重要になってくるだろう(それと同時に、作品の特性や上映時間の短さや地域によって「単価を下げる」試みもあるべきだとは思うが)。

 宣伝展開においても『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』はディズニー配給のマーベル作品の大作『エターナルズ』と共同キャンペーンをするなど、挑戦的な試みをしている。以前にも、東宝配給の『名探偵コナン 紺青の拳』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』の共同キャンペーンという前例はあったものの、今回のコラボレーションはゴールデンウィーク興行のような書き入れ時ではない「平時」のキャンペーンであることや、それぞれの作品の一般的な知名度をふまえると、より踏み込んだものだ。



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