戸松遥×松岡禎丞×水瀬いのり、『SAO』シリーズへの想い 「一緒に成長している実感」

戸松×松岡×水瀬『SAO』への想い

 川原礫の小説を原作にしたアニメシリーズ『ソードアート・オンライン(通称:SAO)』の新作映画『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』が10月30日から全国で公開される。

 次世代VRMMORPG「ソードアート・オンライン」の世界を舞台に、ゲーム内での死が実際の死につながるデスゲームに巻き込まれた少年、キリトの活躍を描く本シリーズは、2012年にTVアニメ化され、アニメファンからの高い評価を受けた。以来、3本のTVシリーズ、1本の劇場版が制作され、さらにゲームやコミックなどメディアミックスも盛んに展開されている。

 今回、公開される『プログレッシブ』は、『SAO』の最初の物語となる《アインクラッド》編を、ヒロインであるアスナの視点から物語を再構築したものだ。原作本編やTVアニメでも語られなかった、キリトと出会う以前のアスナの姿が描かれ、映画オリジナルキャラクターも登場し、さらなる作品世界を広げている。

 今回、公開に先立ち、アスナ役の戸松遥、キリト役の松岡禎丞、初登場となるミト役の水瀬いのりにインタビュー。来年アニメ化10周年を迎える本シリーズへの想いやアフレコ秘話などについて話を聞いた。(杉本穂高)

『SAO』とともにあった9年間

――2012年から始まった『SAO』のアニメは、今年で9年目となります。松岡さんと戸松さんにとって、改めて振り返ると、このシリーズはどんなものでしたか?

戸松遥(以下、戸松):『SAO』は、2、3年に一本くらいのペースでアニメが作られ、その間にもゲームなど別のコンテンツが作られ続けてきたので、この9年間ずっとアスナを演じているような感覚でした。これだけ長く、濃く付き合ってこられた作品は他にはないです。

松岡禎丞(以下、松岡):戸松さんと同じです。僕は『SAO』1期の《アインクラッド》編と《フェアリーダンス》編をやっていた時、アフレコ後のダビング作業を見学させていただき、実際に声をどう編集しているのかを勉強させてもらっていたんです。そのほか、1期の第1話をA-1 Picturesさんのオフィスで観る会にも参加させていただいて、みなさんがどんな作業をしているのかを学ぶ機会をいただけました。伊藤(智彦)監督とも仲良くさせていただきましたし、『SAO』には色々なことを勉強させてもらいました。

――ダビングにまで参加されたのはすごいですね。そこまでされる声優さんは珍しいと思います。2人とも9年間『SAO』で貴重な経験をしてこられたようですね。一方、水瀬さんは今回がシリーズ初参加となりますが、どんな実感を持ちましたか?

水瀬いのり(以下、水瀬):この作品は私がまだ声優として駆け出しの頃、アニメをひとりの視聴者として観ていた側だった時期に始まった作品でした。改めて、アニメというものの面白さを教えてくれた作品で、今回参加できて光栄に思っています。声優としても、ひとりのアニメ好きとしても『SAO』というタイトルは知っていて当然ですし、以前にも別のキャラクターでオーディションを受けたこともあります。今回、ミト役に合格したと聞いた時はどこか夢みたいな気分で、台本を受け取るまでは信じられない気持ちでした。

――ミトは、原作には登場しない映画オリジナルのキャラクターです。オリジナルのキャラクターで参加されることにプレッシャーはありましたか?

水瀬:もちろん、プレッシャーは感じましたが、ミトはアスナを描くうえで必要なキャラクターとして生まれたと思いました。そして、任せていただいたからには、川原先生やアニメ制作チームの意思や想いを、私の声で体現するんだという使命感を持ってアフレコに臨みました。でも、演じてみると、案外気楽でラフな面もあるキャラクターだと感じましたね。ゲームが好きで、アスナに対する気持ちとか、考えていることが真っ直ぐでわかりやすい女の子ですし、先に収録されていたキリトとアスナの声を聞きながら収録できましたので、松岡さんと戸松さんのお2人の芝居にも助けられました。

――どんなことを重視して芝居を作っていきましたか?

水瀬:私はどの役でも自分を消して憑依するように演じるのですが、今回はミトがアスナをどういう風に思っているのかを、自分と重ねながら演じました。(デスゲームが始まって)不安になっているアスナに対して気丈に振舞うミトは、私的に彼女の一番愛おしい部分で、その時にアスナにかける一つひとつの言葉も、ミトが心の中から必死にかき集めているものだと思いますし、そういうリアルな人間らしさを追求できるように、自分自身の気持ちを吐露するような感覚でアフレコしました。

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